古里だより

古里だより 葉月(二)


9/19(火)閉館時間変更のお知らせ

2017/8/11更新



「五感であそぶ井上靖の世界」展 最終日となります9月19日(火)につきまして、展示替えのため、15時閉館とさせていただきます。

ご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。


「西岡屋」のモデル・西村屋




古里だより 葉月(一)


夏のワークショップ

2017/8/11更新



今年の夏のワークショップは「水彩ぬりえにちょうせん!」と「豆本を作ってみよう!」を行いました。

初回の「水彩ぬりえにちょうせん!」は、当館のケイカの花や「まんがで読む井上靖」を手掛けてくださっている絵本作家の江頭路子さんを講師に実施しました。
透明感あふれる絵を描く江頭さん。この日のために『しろばんば』の川遊びの場面を特別に描いていただきました。


洪作はすぐ真っ裸になって瀬へ飛び込み、浅いところでばちゃばちゃやった。淵は深くて背が立たないところがあった。洪作が来たことで、幸夫も芳衛もまた瀬へ飛び込んで来た。洪作たちは何回も水を浴び、何回も冷えた体を石に当てて背を干した。子供たちは石で体を温めることを甲羅を干すと言った。実際に河童が甲羅を干すのに似ていた。
『しろばんば』より


まずは江頭さんのお手本。
水の流れている部分にクレヨンで流れを描き、マスキングします。
そのあと、塗る場所に水をのせてから、薄く絵の具で塗っていきます。

「西岡屋」のモデル・西村屋

では、本番のはじまり。
川を想像しながら、着色していきます。色を試しに塗ったり、重ねていったり・・・

「西岡屋」のモデル・西村屋

「西岡屋」のモデル・西村屋

それぞれの夏の風景ができあがりました。

「西岡屋」のモデル・西村屋


8月は「豆本を作ってみよう!」を開催しました。
小さな小さな豆本ですが、表紙、見返し、本文、花切れ、ひも(スピン)をつくるので、本と同じ構成になります。

本文を折り、見返しを貼り、表紙を作ります。
表紙の紙とひもは、参加者それぞれ好きなものを選びました。
表紙は厚紙を入れるので、ハードカバーのようなしっかりした堅さに。ひも、花切れを貼り付け、最後に本文と表紙を付けたら完成!

「西岡屋」のモデル・西村屋

「西岡屋」のモデル・西村屋

本がどんなふうに作られているのか、作りながら仕組みが分かります。
参加者手のひらに載せて撮影。

「西岡屋」のモデル・西村屋




古里だより 文月(三)


夏休みの子どもたちへ

2017/7/27更新



井上靖生誕110年。
この夏、当館では、小中学生向けのパンフレット「井上靖 ふるさとのことば」と「井上靖ってどんなひと?」を作成しました。
子どもを対象にした案内は初めての試みです。

「西岡屋」のモデル・西村屋

「井上靖 ふるさとのことば」は、作家の紹介とともに、短い詩を四つ掲載しました。
掲載した詩「千本浜」や「地球上で一番清らかな広場」は、この地域が舞台になった作品です。
文学館のある長泉町の小中学生や三島市の小学生へ配布しました。

「千本浜」
千本の松の間に千個の海のかけらが挟まっていた。
少年の日、私は毎日それらを一つずつ食べて育った。

「井上靖ってどんなひと?」は、来館した子どもたちへ渡すパンフレットです。
『しろばんば』や『あすなろ物語』にまつわるクイズに答える、書き込み式になっています。

「西岡屋」のモデル・西村屋

パンフレットは、文化庁の「地域の核となる美術館・博物館支援事業」によって作成しました。
絵本作家の江頭路子さんによる、かわいらしいイラストも必見です。

「西岡屋」のモデル・西村屋

時を同じくして、クレマチスの丘で開催中の「木」をテーマにした企画展をめぐる「木のたんけんノート」もスタートしました。
ヴァンジ彫刻庭園美術館、ビュフェ美術館、井上靖文学館のスタンプを集めながら、紹介されている木や、身のまわりの木々について考えてみませんか。




古里だより 文月(二)


夏の100冊!

2017/7/8更新



7月に入り、夏休みが近づいてきました。
全国の書店では恒例の夏フェアを開催中ですね。

「西岡屋」のモデル・西村屋

今年は、「新潮文庫の100冊 2017」に『あすなろ物語』が選ばれました。
新潮文庫ベストセラー20位にもランクインしています!
井上靖の作品と出会うきっかけとなりますように。

最新情報は井上靖文学館facebookをご覧ください
https://www.facebook.com/inoue.yasushi.museum




古里だより 文月(一)


井上靖命名のBar

2017/7/8更新



東京都中央区日本橋。東京駅八重洲口から歩いて数分のところに、井上靖が命名したバー「ぺしゃわーる」があります。

「西岡屋」のモデル・西村屋
昼間は喫茶店、19時からバーになります。

オーナーが井上靖と親しく、1978~79年頃に命名してもらったそうです。
「以前は銀座にあり、その頃は漢字だったが、読むのが難しいという理由で現在の平仮名になった」とのこと。
オーナーは若い頃に井上と知り合い、ずっと交流が続いたそうです。

「旅」

毎年、年の初めに旅の計画を樹てる。

一九七六年は 布路沙布邏(ペシャワール)。

クシャン王朝の夏の都。
柘榴(ざくろ)の木の多い町。
アレキサンダーが午睡をとった城市。

そこの丘陵の斜面にあるホテルの一室で、
私は、東京に居るもう一人の私に、
未解読の孑孑(ぼうふら)のような文字で、
絶縁の手紙を認めたいのだ。

1976(昭和51)年1月、日本ペンクラブ「PEN」へ発表。詩集『遠征路』収録。

「西岡屋」のモデル・西村屋

店内に飾ってある「旅」という詩の原稿。書斎で書いたものをいただいたそうです。
井上は1978(昭和53)年10月にパキスタンの街、ペシャワールを訪れています。

オーナーの方と、好きな作品だという「星と祭」や「グウドル氏の手套」の話、思い出話を聞くことができました。
この日は、「コーヒーがおいしいからおすすめ」ということで、ウォッカベースでコーヒー風味のブラックルシアンをいただき、家路へ。

みなさんも文豪ゆかりのお店に足を運んでみませんか。




古里だより 水無月(四)


まんがで読む井上靖~第五話~

2017/6/24更新



生誕110年記念「まんがで読む井上靖」
第五話「靖、文学に目覚める!」沼津編完結です。


「西岡屋」のモデル・西村屋




古里だより 水無月(三)


金時娘と「山の少女」

2017/6/24更新



初夏の風が爽やかな六月初旬、金太郎伝説で知られる金時山へ出かけました。
金時山は、神奈川県足柄下郡箱根町、南足柄市と静岡県駿東郡小山町の境に位置し、標高1,213メートル。
山頂には二つの茶屋があり、その一つ、金時茶屋の看板娘である「金時娘」は、井上靖の短編小説「山の少女」に登場します。
1952(昭和27)年の新緑の頃、井上靖は、金時山の麓である箱根町仙石原の旅館で、「金時娘」こと・小見山妙子さんに会いました。翌日、金時山へ登り、取材。その年の11月、『改造』に短編「山の少女」を発表したのでした。

<あらすじ>
私は若い新聞記者から山頂で一人生活している山の少女・小早川那美子の小説の原稿を預かった。
この作品は本当に山の少女が書いたものだろうか?
新聞記者と私は山頂の茶屋を目指して登り始める……

山を降りると天気の予想がつかないで不自由だという。山頂に居る限りでは、めったに晴雨の判断を誤ることはない。丹沢山地から吹いてくる東北の風か、富士の方から吹いてくる北西の風の場合は必ず半日もしないうちに雨は上がる。またどんなに快晴であっても駿河湾、相模湾の方から吹いてくる南西、東南の風だと、雨か曇りになる。
秋から冬にかけて、丹沢の方に狐火が見える。数珠のように橙色の火が一列に並んで、ゆっくりと移動して行く。
流れ星は必ず駿東郡東部の河洲に落ちる。


「西岡屋」のモデル・西村屋
前回は金時神社から登りましたが、今回は足柄峠から歩きます。足柄駅の金太郎。

箱根笹と熊笹の原が長いこと交互に続いて、初めはゆるやかな上りだったが、そのうちに道の勾配は次第に険しくなり、それにつれて路面に岩石が露出して歩きにくくなった。私たちは途中で幾組かの若い男女の登山者たちと行き違った。山桜の造花のような白い花が所々の藪蔭に咲いていて、鶯の鳴き声が時々斜面の下の方から聞えて来た。


「西岡屋」のモデル・西村屋
足柄峠から富士山を見ながら。

「西岡屋」のモデル・西村屋

私たちが昨夜止まった仙石原は眼下にあった。そして仙石原を囲む幾つかの小高い山も丘陵もこの高処から見ると、一様にその高度を失って仙石原をそのうちに包んだ大きい平坦な原野に見えた。右手の方は私たちの坐って居る山の続きである外輪山が蜿蜒として大きくその原野を抱くように迂回して、遠くの蘆ノ湖は小さい水溜りといった貧しい感じだった。

「西岡屋」のモデル・西村屋
芦ノ湖を遠望

「西岡屋」のモデル・西村屋
山頂の金時茶屋

「いまはカンコが出ているの。味噌汁の中へ入れると美味しいわ。大抵毒消しに油を一、二滴入れるの。来月からは、チイタケ、ホウキタケ、鼠タケ」
そうした山の生活に必要な知識を、彼女は、小学校の六年生の時亡くなったという富士山の強力だった父親から、教わっているようであった。
彼女は父親が亡くなる前に、父母や兄妹たちと一緒に一家五人で山に住んだことがあり、幼時の、その時の山の生活の楽しさが忘れられないで、二十三年四月から一人でこの山の生活を始めたということだった。


「西岡屋」のモデル・西村屋
「山の少女」のモデル小見山妙子さん
1933(昭和8)年生まれ。14歳から茶屋の切り盛りをするようになったそうです。彼女の父は有名な強力(ごうりき)で、新田次郎の直木賞受賞作「強力伝」のモデルです。

妙子さんは金時茶屋で、いまも、息子の秀峰さんと登山者をもてなしています。
「井上先生は小説のなかでよく書いてくれています」と笑顔を見せてくれました。




古里だより 水無月(二)


新しくなりました!

2017/6/11更新



開催中の「五感であそぶ井上靖の世界」展にあわせて、文学館の入口が変わりました。
井上靖が愛用した満寿屋の原稿用紙とモンブランの万年筆を大きく掲示し、撮影スポットを作りました!
館内は撮影できませんので、ぜひ玄関で記念撮影を。

「西岡屋」のモデル・西村屋


これまで古書 大雄峰(東京)と、英文堂書店(沼津)から寄贈の書籍を閲覧書籍コーナーへ設置していましたが、新たに関係者から寄贈いただき、閲覧書籍が増えました。
初版本、絶版となった単行本、文庫本、関連書籍など多彩なラインナップです。
昔の本の風合いや装丁は味わい深いですね。

「西岡屋」のモデル・西村屋


「五感であそぶ井上靖の世界」展では、作品にまつわる様々なものをみる、きく、さわる、かぐ、味わうといった感覚で、気軽に親しめる展示となっています。
その中で、一番人気なのが「ことばくじ」!
井上靖の100のことばをくじにしたもので、何が出るかはお楽しみ。詩、エッセイ、小説の一節を当館スタッフが選定しました。
くじはおひとつ持ち帰ることができます。
どんなことばが出るでしょうか?

「西岡屋」のモデル・西村屋


「まんがで読む井上靖」ほか、最新情報はfacebook「井上靖文学館」をご覧ください。
https://www.facebook.com/inoue.yasushi.museum




古里だより 水無月(一)


子どもたちと「地球上で一番清らかな広場」

2017/6/11更新



先月、出張授業へお邪魔した伊豆市立天城小学校5年生の皆さんが文学館見学に来てくれました。
出張授業では、「井上靖ってどんな人?クイズ」や、天城の子どもたちへ贈った詩「地球上で一番清らかな広場」について、みんなで考えながら読みました。
この日は、伊豆の踊子の冒頭部分と、「地球上で一番清らかな広場」を暗唱し、そのあと館内を見学しました。

「地球上で一番清らかな広場」

地球上で一番清らかな広場。 北に向って整列すると、
遠くに富士が見える。
廻れ右すると天城が見える。

富士は父、天城は母。
父と母が見ている校庭で
ボールを投げる。

誰よりも高く、美しく、
真直ぐに、天にまで届けと、
ボールを投げる。



「前日の野外学習でおぬい婆さんのライスカレー作ったよ!」
「しろばんば、この間もいたね」

「西岡屋」のモデル・西村屋

「自由に書いていいよ」と渡した紙に、こんな句を書いた子も。

「西岡屋」のモデル・西村屋
「しろばんば どこからくるの しろばんば」
天城の夕刻を告げる「しろばんばの唄」の一節を思わせますね。

団体見学や、学校の児童・生徒の皆さんの来館もお待ちしています。
簡単な解説など、希望によって案内の対応もできますので、お気軽にご一報ください。




古里だより 皐月(四)


まんがで読む井上靖~第四話~

2017/5/27更新



生誕110年記念「まんがで読む井上靖」第四話。
湯ヶ島を旅立って、青春放浪の中学編です。

画:江頭路子(えがしら みちこ)
監修:井上靖文学館

「西岡屋」のモデル・西村屋




古里だより 皐月(三)


新商品、オリジナルグッズ!

2017/5/27更新



当館オリジナルグッズ、瓊花(けいか)の香り付きしおりを好評販売中です。
小説「化石」の一節を抜粋。1枚50円。
瓊花の絵は、絵本作家の江頭路子さんによるものです。

「西岡屋」のモデル・西村屋


川端康成、井上靖、司馬遼太郎…
多くの作家が愛用する満寿屋の原稿用紙がミニメモ帳になりました!
ハガキサイズで1冊250円。メモとしても、一筆箋としても使えます。
現在、井上靖が愛用した緑の罫線の原稿用紙を展示中ですので、ぜひご注目ください。

「西岡屋」のモデル・西村屋


生誕110年を記念して、藤澤全氏(元・日本大学教授)の研究書「井上靖『猟銃』の世界」が刊行されました!
「猟銃」は、三人の女性の手紙から一人の男の姿が浮かび上がる、初期の短編小説。伊豆市の滑沢渓谷や熱海が舞台として描かれています。
昨春には、中谷美紀主演舞台として再演されました。

書名:「井上靖『猟銃』の世界」
著者:藤澤全(ふじさわ・まとし)
発行:2017年4月、大空社出版
仕様:四六版・並製・169ページ
定価:1600円+税

「西岡屋」のモデル・西村屋


そのほか、当館発行の「井上靖童話」や井上靖の文庫本、関連書、書店では手に入らない研究書、『しろばんば』に登場するお菓子まで、幅広く取り揃えております。

最新情報はfacebook「井上靖文学館」をご覧ください。
https://www.facebook.com/inoue.yasushi.museum




古里だより 皐月(二)


新しいパンフレット、新しいことば

2017/5/13更新



当館のパンフレットは四種類あり、それぞれ別のことばを掲載しています。
前回は「富士山」をテーマにした四種類でしたが、今月半ばから「若き日の井上靖」をテーマとしたパンフレットとなります。
今回掲載の作品は、詩「瞳」「友」「野分(一)」と小説「通夜の客」の一節です。


「瞳」

七歳ごろであったろうか。明るい春の、風の強い日、私は誰かに背後から抱いて貰って、庭の隅の古井戸を覗き込んだことがある。苔むした古い石組と生い茂った羊歯(しだ)、ひやりとする冷たい空気、地上から落ち込んだその方形の空洞の底には、動かぬ水が銹びた鏡のように置かれてあった。思うに、私の生涯に大きい関係をもつ何ものかが、初めて私の軀(からだ)の中に這入り込んできたのはその時であった。


「西岡屋」のモデル・西村屋


ささやかな言葉のお土産をお持ち帰りください。




古里だより 皐月(一)


出張授業「出発」

2017/5/13更新



昨年に続き、伊豆市立天城小学校5年生・6年生と、三島市立坂小学校6年生の出張授業を行いました。
学校図書の教科書『「国語」6年 上』の巻頭を飾る詩「出発」。一昨年、井上作品が10年ぶりに教科書に登場したことを契機に、学校へお邪魔しています。

天城小5年生への授業は今年が初めてです。これから地域学習が始まるということで、「井上靖ってどんな人だろう」、「天城とどんなつながりがあるのかな」という話をしました。
さらに、天城の子どもたちへ贈った詩「地球上で一番清らかな広場」をみんなで考え、朗読しました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

「地球上で一番清らかな広場」

地球上で一番清らかな広場。 北に向って整列すると、
遠くに富士が見える。
廻れ右すると天城が見える。

富士は父、天城は母。
父と母が見ている校庭で
ボールを投げる。

誰よりも高く、美しく、
真直ぐに、天にまで届けと、
ボールを投げる。


天城小と坂小の6年生の授業では、「出発」がどんな場面か想像したり、繰り返し使われている言葉を探しました。
また、詩「出発」と同じく、マラソン競争の場面が描かれている『しろばんば』の一節を読み比べました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

文学館は、未来を担う子どもたちと、読書の楽しみや、地域学習の時間を共有したいと考え、今後も出張授業や出前講座を続けてまいります。
出張授業、団体見学などの希望がありましたら、ぜひご一報ください。

最新情報はfacebook「井上靖文学館」をご覧ください。
https://www.facebook.com/inoue.yasushi.museum




古里だより 卯月(四)


瓊花(けいか)まつりと生誕記念日

2017/4/23更新



遣唐使たちの運命を描いた小説「天平の甍」にちなみ、2013年に植樹した瓊花(けいか)の花。
今月下旬の見ごろに合わせて、瓊花(けいか)まつりを開催いたします。
また、110回目の生誕記念日5月6日(土)は入館料無料となります。


【第4回 瓊花(けいか)まつり】
とき:4/29(土)~5/7(日)
当館オリジナルグッズ、瓊花の香り付きしおりを発売します。
しおりの絵は、三島市在住の絵本作家・江頭路子さんによるものです。
4/29、30、5/3~5/5、5/7は13時~ギャラリートークを開催。


【110回目の生誕記念日】
とき:5/6(土)
終日、入館料無料となります。
先着110名様限定、むかし懐かしいガラポンにご参加いただけます。


「西岡屋」のモデル・西村屋


【瓊花(けいか)】
レンプクソウ科。中国揚州市の市花で、日本では唐招提寺や佐賀県立森林公園など、鑑真ゆかりの地だけに植栽されている珍しい花です。
例年、見頃は4月の下旬から5月初旬。鑑真遷化1250年を記念し、2013年に植樹しました。




古里だより 卯月(三)


まんがで読む井上靖~第三話~

2017/4/23更新



生誕110年記念「まんがで読む井上靖」第三話は、「別れと旅立ち」です。
画:江頭路子(えがしら みちこ)
監修:井上靖文学館

「西岡屋」のモデル・西村屋





古里だより 卯月(二)


「五感であそぶ井上靖の世界」展

2017/4/3更新



生誕110年「五感であそぶ井上靖の世界」展が始まりました。

「西岡屋」のモデル・西村屋


「しろばんばに登場する、おばあちゃん自慢のごちそうは?」
「あすなろはどれだろう?」

「西岡屋」のモデル・西村屋

「天平の甍ゆかりの瓊花(けいか)の香りを嗅いでみよう!」

「西岡屋」のモデル・西村屋

見る、聞く、触る、味わう、嗅ぐといった体の感覚を使って、作品の世界に親しめる展示を企画しました。
井上靖の100のことばを選定した「ことばくじ」。
おひとつ言葉のお土産をどうぞ。

「西岡屋」のモデル・西村屋


生誕110年「五感であそぶ井上靖の世界」展
会期:2017年3月16日(木)~9月19日(火)
協力:井上靖ふるさと会
後援:一般財団法人 井上靖記念文化財団




古里だより 卯月(一)


劇団しろばんば
生誕110年記念公演

2017/4/3更新



井上靖生誕110年。
第一弾として、劇団しろばんばによる公演が行われます。
入場無料ですので、お気軽にどうぞ。


生誕110年記念公演
「しろばんば~久保田の人々~」
日時:平成29年4月29日(土・祝)13時30分開演
会場:天城会館劇場ホール
*入場無料
主催:劇団しろばんば
後援:伊豆市・伊豆市教育委員会・井上靖記念文化団・井上靖ふるさと会

「西岡屋」のモデル・西村屋




古里だより 弥生(二)


五感であそぶ井上靖の世界

2017/3/3更新



「真田軍記」展も残すところわずかとなりました。

井上靖生誕110年を迎えた2017年。
当館では、見る、聞く、触る、味わう、嗅ぐといった体の感覚を使って、作品の世界を楽しめる展覧会を開催いたします。
井上靖の100のことばで「ことばくじ」を作りました。誰でも参加できます。


「新しいインキ壜の蓋を開けると、ブルー・ブラックの深海がある。」

「西岡屋」のモデル・西村屋

「五感であそぶ井上靖の世界」展
会期:2017年3月16日(木)~9月19日(火)
協力:井上靖ふるさと会
後援:一般財団法人 井上靖記念文化財団




古里だより 弥生(一)


あすなろ忌のご報告

2017/3/3更新



井上靖を偲ぶ「あすなろ忌」が伊豆市湯ヶ島にて行われました。
今年は命日である1月29日の開催でした。

まずは、熊野山共同墓地にて墓参。
井上家や地元関係者、全国から集まったファンなど約50名が集い、暖かな陽の光を浴びながら手を合わせました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

墓参の後は、天城会館にて井上靖作品読書感想文・感想画コンクール入賞者の表彰式です。
それぞれの思いがことばや絵となって表現されました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

昼食後、午後の部は映画「千利休 本覚坊遺文」上映。
1989年公開、熊井啓監督、ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞作品です。

気持ちよく晴れた冬の日、天城会館からの富士山を眺めながら作家を偲びました。




古里だより 如月(三)


まんがで読む井上靖~第二話~

2017/2/19更新



生誕110年記念「まんがで読む井上靖」第二話は、「おぬい婆ちゃんと食べもの」です。
朝起きたら、最初に食べるものは?
おぬい婆ちゃん自慢のごちそうって?


「西岡屋」のモデル・西村屋





古里だより 如月(二)


まんがで読む井上靖

2017/2/3更新



生誕110年を記念して、今月より「まんがで読む井上靖」の連載を始めます。
第一話は生誕。これから井上靖の生涯をゆっくり紹介していきますね。

画:江頭路子さん(絵本作家・イラストレーター)

「西岡屋」のモデル・西村屋





古里だより 如月(一)


文学館のしごと~その2~
出張授業・出前講座

2017/2/3更新



当館では、学校への出張授業や、図書館などの施設へ出前講座を行っています。
2016年12月には伊豆市立天城中学校2年生の出張授業「井上靖と天城」と、長泉町立図書館の講座「井上靖が遺したもの」を実施しました。

学校図書の中学二年生の教科書に『孔子』と『利休の死』が抜粋掲載されたことを機に、出張授業の運びとなりました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

まずは段落ごとに『利休の死』を読み、「歴史小説とはなにか?」を考えました。
そして後半は、天城中学校と井上靖の関わりを紹介し、クイズをしながらふるさとの作家に親しみました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

井上靖は天城中学の校歌を作詞し、生徒会会誌にて「故里美し」を寄稿しました。
天城中学への道「克己坂」は、『あすなろ物語』の「克己」に由来します。

長泉町民図書館の図書館講座「井上靖が遺したもの」では、長泉町と井上靖の関わりを振り返り、 井上作品にどんなメッセージが込められているのか、作品の抜粋を読みながら紹介しました。

2016年は三島市立坂小学校、伊豆市立天城小学校、天城中学校へ出張授業、出前講座は御殿場市民交流センターふじざくら、長泉町民図書館にて開催しました。
当館では、学校からの団体見学も受け付けております。
案内の内容は学校・団体によって対応しますので、事前にご一報ください。




古里だより 睦月(一)


新年のご挨拶

2017/1/8更新



本年もよろしくお願いいたします。

「西岡屋」のモデル・西村屋

今年は井上靖生誕110年、
さまざまな企画を準備しております。

1/29(日)には、伊豆市湯ヶ島にて井上靖追悼「あすなろ忌」を開催予定です。




古里だより 師走(三)


あすなろ忌

2016/12/23更新



井上靖追悼「あすなろ忌」の知らせが届きました。
今年は命日の1月29日開催です。暖かい服装でお越しください。

井上靖追悼「あすなろ忌」
2017(平成29)年1月29日(日)10時~15時
於・天城会館劇場ホール(伊豆市湯ヶ島)

10時~ 墓参:熊野山墓地
11時~ 井上靖作品読書感想文・感想画の発表・表彰式:天城会館
12時~ 休憩
13時~ 映画上映会:「千利休 本覚坊遺文」:開場12時30分:天城会館
*入場無料です

「西岡屋」のモデル・西村屋

共 催:伊豆市教育委員会/井上靖ふるさと会
後 援:伊豆市/伊豆市文化協会/ふるさと 井上靖文学館/
一般財団法人 井上靖記念文化財団/静岡新聞社・静岡放送/伊豆日日新聞

【問い合わせ】
伊豆市教育部社会教育課(電話0558-83-5476)


【年末年始休館のお知らせ】
2016年12月26日(月)より2017年1月6日(金)まで、クレマチスの丘の全ての施設は休業いたします。
2017年もよろしくお願いいたします。




古里だより 師走(二)


文学館のしごと紹介~東京・岩手訪問~

2016/12/23更新



「文学館ってどんな仕事をしているの?」と、聞かれることがあります。
そんな声に応えるため、あまり知られていない文学館のしごとの一部を紹介していきます。

今回は、東京及び岩手訪問の様子をご報告します。

まず、江東区にある教科書図書館にて、井上作品が掲載された教科書の調査に行ってきました。
生誕110年事業の準備として、資料調査です。
小学校、中学校、高校の検定教科書が並ぶ書棚から、目的の教科書を探し、複写をします。
国語の教科書は、時代によって掲載された作品が異なるので、見ていて飽きることはありません。

「西岡屋」のモデル・西村屋

次に、岩手県花巻市の宮沢賢治記念館と童話村へ。
花巻駅を降りると、賢治生誕120年の旗が風にそよいでいました。
記念館へ向かう道中、ガードレールの柱には、猫やふくろうといった賢治作品のモチーフがあり、ベンチや街灯も銀河鉄道があしらわれています。

「西岡屋」のモデル・西村屋

宮沢賢治記念館は、「科学」「芸術」「宇宙」「宗教」「農」の5つのテーマから、賢治の人と作品が伝わる展示になっていて、賢治の多様な横顔を知ることができます。
さらに、記念館を下り、銀河ステーション、白鳥の停車場を通って、童話村へ。
森の中の賢治の学校は、歩きながら作品の世界が体感できる場所でした。
村内のロッジの中は、それぞれ「鳥」「星」「動物」といったテーマの部屋になっており、鳥の泣き声や、星のまたたきなど、訪れた人が触ったり、のぞいたり、楽しめる工夫がなされていました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

最後は花巻から北上市へ移動し、日本現代詩歌文学館へ。
日本現代詩歌文学館は、日本全国の詩歌の資料を対象とした文学館です。
過去には井上靖が名誉館長を務めており、入口には井上が揮毫した館名の石碑があります。
館内の井上靖記念室は、「詩を閉じこめておく小さい箱」をイメージした箱があしらわれ、開けてみると、詩に合った音や光、写真が浮かび上がる仕掛けが施されています。

「西岡屋」のモデル・西村屋

井上靖の詩の世界を、静かに味わうことのできる空間。
五感を使う展示方法はとても参考になりました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

今回は、文学館のしごとの一部として、井上靖の生誕110年に向けた準備をお届けしました。
また、今後は展覧会の裏側や、本を保管する仕事など、なかなか見る機会のない文学館のしごとをご紹介していきます。




古里だより 師走(一)


「朗読とチェンバロコンサート」

2016/12/2更新



銀杏並木が黄色く染まった11月13日(日)、「朗読とチェンバロコンサート」を開催しました。
演奏は洗足学園音楽大学講師の平沢匡朗さん、朗読はひらつかすみこさん。
幾度も共演されているお二人の、息の合ったコンビネーションでした。


演奏はバッハの平均律クラヴィーア曲集より。
チェンバロの優しい音色が館内を包みました。

「西岡屋」のモデル・西村屋


朗読は井上靖『シリア沙漠の少年』などから八編。


「落葉」

―眼鏡がどこかへ逃げちゃった!
今朝、私が言うと、五歳の孫娘は方々探し廻った挙句、
―洗面所の鏡の横に匿れていたの!
と、眼鏡を書斎まで持って来てくれた。そしてその序でに縁側から庭を眺め、一面に散り敷いている枯葉を指差して、
―誰が撒いたの?
と訊いた。みごとな質問だったので、正しく答えてやらねばならなかったが、答えられなかった。
誰が撒いたのであろうか。答えられぬままに晝が過ぎ、夜になり、そして深更に及んでいる。耳を傾けると、庭では今も何ものかが枯葉を振り撒いている。
その音が聞える。


「西岡屋」のモデル・西村屋


最後は、文学館からのリクエストで「しろばんばの唄」を演奏していただき、参加者全員で歌って閉会となりました。

来年は井上靖生誕110年。
また文学館で音とことばを楽しむコンサートを予定しています。




古里だより 霜月(三)


「満ちて来る潮」の舞台
浜松市天竜区佐久間を探訪!

2016/11/19更新



『満ちて来る潮』は、医師の安彦と妻の苑子(そのこ)、苑子の妹の笙子(しょうこ)、ダムの設計技師で安彦の患者である紺野を中心に、男女の心の交錯を描出した長編小説です。
都会とダム工事現場が対照的に描かれていますが、とりわけ佐久間ダム(現・浜松市天竜区)の工事現場は、紺野と苑子の間に大きな亀裂が生まれる、物語の佳境の場面にあたります。


今回は、佐久間図書館司書・長谷川陽子さんの案内で、『満ちてくる潮』の挿絵の場所を訪ねながら、写真に収めました。

井上靖は同作の取材旅行を少なくとも四回行っており、そのうち1955(昭和30)年3月と翌年3月が佐久間ダムの取材でした。

『氷壁』の挿絵で知られる生沢朗さんの絵は、作品に彩りを添えました。
山の稜線や川の流れなどが忠実に描かれていた生沢さんの挿絵。そのおかげで、自然の形を探しながら歩くことができました。


「西岡屋」のモデル・西村屋
「西岡屋」のモデル・西村屋

やがて初めて天竜川にぶつかり、橋を渡ると、二俣の静かな町にはいった。
「ここには昔二俣城という有名な城があって、軍事上なかなか大切なところだったらしいですよ」
第215話・鹿島橋


「西岡屋」のモデル・西村屋
「西岡屋」のモデル・西村屋

左手に天竜川の流れが広い磧を抱いて大きく彎曲(わんきょく)し、右手には飯場の建物をその斜面の到るところに載せた丘があり、磧と丘の間の広い傾斜地を舗装された道路が縦横に走っている。新しく都会でも建設されようとしているかのような、異様な新鮮さを持った風景である。
第217話・天竜川の眺め


「西岡屋」のモデル・西村屋
「西岡屋」のモデル・西村屋

ベルト・コンベアの造り出す雨の擬音の中で、苑子はひたすら眠ることにつとめた。家のことも、安彦のことも、そして紺野とふたりでのあすからの旅のことも考えず、ただ早く眠りの中に落ちてしまおうと思った。
第222話・電源開発の流静クラブ跡(作中、紺野と苑子が宿泊する電力開発のクラブ)


「西岡屋」のモデル・西村屋
「西岡屋」のモデル・西村屋

大堰堤(えんてい)が川をせきとめている。高さ百五十メートルあるというコンクリートの壁面が、川幅いっぱいに向い合っている二つの山の間に置かれ、壁面の中央部にあけられた穴から水が二つの大瀑布(ばくふ)となって迸り出ている。川底はずっと下の方である。
第224話・佐久間ダム


「西岡屋」のモデル・西村屋
「西岡屋」のモデル・西村屋

自分の人生の道はすでにもう変わってしまっている。いまさら引き返すことも、元に戻ることもできないのだ。
第228話・JR飯田線中部天竜駅のホーム


「川の話」に登場する天竜川や、佐久間高校そばの井上靖文学碑「天竜川・讃」など、佐久間は井上にとって縁のある場所です。
また、同作の題名「満ちてくる潮」については、後年、自身の母校である沼津東高校(旧制沼津中学)へ「潮が満ちて来るような、そんな満たし方で、人は己が生涯を何ものかで満たすべきだ。」と刻んでおり、潮が満ちるというイメージを持ち続けていたことがうかがえます。


小説や詩の舞台を訪ねることで、現地の風を感じるだけでなく、いつもと違った風景がみえてきます。
今回は挿絵の地点に立つことで、どんな思いでこの場所を選んだのか、この場面を描いたのか、思いを巡らせることができ、文学散歩の原点を味わったひとときでした。




古里だより 霜月(二)


短編朗読会「本多忠勝の女」ご報告

2016/11/3更新



秋晴れとなった10月16日(日)、短編朗読会「真田軍記・本多忠勝の女(むすめ)」を開催しました。
講師は、SBS学苑講師で、元SBSアナウンサーの村上裕子さん。
三年前、村上さんが静岡新聞の読者投稿欄「ひろば」へ『氷壁』について寄稿された縁で知り合い、このたび朗読会の運びとなりました。


『真田軍記』の中の二話目にあたる「本多忠勝の女」は、第一次上田合戦にて上田城を落とせなかった徳川家康が、重臣・本多忠勝の娘・月姫と、真田昌幸の嫡男・信之との縁組を申し出ることから始まります。
秀吉の天下が訪れ、月姫とその子どもたちを愛でる昌幸でしたが、秀吉が亡くなると世の中が不穏な空気に包まれ……

「西岡屋」のモデル・西村屋

今回は、月姫の輿入れの場面から朗読。

「お互いに笑ってばかりいられない時が来るかも知れぬ。月姫は二人の父を持っているが、一体どちらが好きかな」
それに対して月姫は静かに顔を俯向けていた。


父子が敵と味方に分かれることになった「犬伏の別れ」の後、沼田城城門での場面。

「先ほど、信之より使者が参りまして、父上とは敵味方の引き分かれてしまったことを知りました。こうなりましたからには、父上ではありますが、城の中へお入れすることはできませぬ。」

「西岡屋」のモデル・西村屋
挿絵・江崎孝坪

昌幸と月姫が初めて交わした会話や、月姫の変化が目に浮かぶようでした。

耳で聴く文学の世界。
当館では、これからも短編朗読会を開催していきたいと思います。



古里だより 霜月(一)


かるた作りで5・7・5!

2016/11/3更新



雨ふりとなった10月の三連休初日、「わんぱく冒険サークル」の子どもたちとオリジナルかるた作りを開催しました。
紙芝居でおなじみの三ツ沢グッチさんが代表を務める「わんぱく冒険サークル」は、長泉町の小学生を対象に、毎月さまざまな企画を行っています。

10月は当館スタッフが講師となって、5・7・5のかるた作り。
テーマは「秋」「長泉町」として、読み札と絵札を考えます。
「長泉町ふるさとかるた」を読んでみたり、指で音を考えてみたり…
「5・8・5になってもいい?」「いいよ!」
「‘か’をやめて、‘さ’にしていい?」「チェンジは1回までOKだよ!」

「西岡屋」のモデル・西村屋

絵札には最初の文字を貼り付けてから絵を描き、読み札は大きくひらがなで書きます。

「西岡屋」のモデル・西村屋

完成したら、世界にひとつだけのかるたを使った、かるた大会!
「ほっかほか あきにたべたい やきいもだ」
「らくようを たくさんあつめ ならべよう」

「西岡屋」のモデル・西村屋

身近なものから、簡単なことば遊びをすることができました。
このサークルでは、豆本作りなど毎年違った内容で秋の一日を楽しんでいます。
来年はどんな時間になるのでしょうか。




古里だより 神無月(四)


朗読とチェンバロコンサート

2016/10/17更新



しろばんばの舞う季節となりました。
文学館で、朗読とチェンバロの音色を楽しみませんか。


催 し:「朗読とチェンバロコンサート」
日 時:2016年11月13日(日)13時~14時
ところ:井上靖文学館
演 奏:平沢匡朗(洗足学園音楽大学講師)
朗 読:ひらつかすみこ
定 員:25名
参加費:500円(入館料含む・中学生以下は無料です)
申し込み:事前にご予約ください

演奏:バッハ、フランス組曲第三番ほか
朗読:詩「秋」「石英の音」「落葉」「冬の来る日」「地球上で一番清らかな広場」を予定しています。
「西岡屋」のモデル・西村屋

【お問合せ】
井上靖文学館:電話055-986-1771(毎週水曜は休館日です)



古里だより 神無月(三)


瓊花(けいか)の実

2016/10/17更新



秋深まり、空の青さが濃くなっていく季節。
当館前庭の瓊花(けいか)が実をつけました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

鑑真和上遷化1250年を記念し、植樹してから三年半。赤く、可愛らしい実をつけてくれました。
瓊花(けいか)を育てた方から、「秋には実がなるよ」と聞いていたので、樹の成長が感じられる嬉しい出来事でした。

【瓊花(けいか)】
鑑真ゆかりの中国揚州市の市花で、日本では唐招提寺や鑑真上陸の佐賀県立森林公園など、ゆかりの地だけに植栽されている珍しい花です。例年、見頃は4月の下旬から5月初旬。




古里だより 神無月(二)


「父 井上靖と私」報告

2016/10/17更新



井上靖長女・浦城いくよさんの著書『父 井上靖と私』重版を記念し、二つの催しを開催しました。

9月25日(日)文学館講座にて

「生活の中で父から教えられたこと」をテーマにさまざまなお話をうかがいました。
「絵を見る時、そこに描かれている人がどんな人なのか、どんな風に過ごしてきたか、これからどんな人生を送るのかを想像すること」。
これは詩「ある旅立ち」などにも通じる話だと感じました。

また、「書かないと残らない。例えば旅先の家々の屋根の色など、些細なことでも記録しておかないとすぐに忘れてしまう。書くことが基本」。
旅先でも常にメモを取っていた井上らしい言葉です。


10月1日(土)伊豆市湯ヶ島の弘道寺にて

「弘道寺 昔かたり会」と題して、浦城さんのお話と昔懐かしい写真のスライドショーを行いました。
「西岡屋」のモデル・西村屋

弘道寺は、湯ヶ島小学校の前身であり、『しろばんば』時代から子どもたちの遊び場でした。
この日はご近所の方々など80名以上の参加で、大賑わい。

「西岡屋」のモデル・西村屋

これからも湯ヶ島での出前講座など、井上のふるさと伊豆と連携していきたいと思います。




古里だより 神無月(一)


短編朗読会「真田軍記・本多忠勝の女」

2016/10/3更新



井上靖『真田軍記』は真田一族を取り巻く四話の短編からなる歴史小説です。
今回の催しでは、『真田軍記』より「本多忠勝の女(むすめ)」を元SBSアナウンサー村上裕子さんに朗読していただきます。
当館学芸員の解説を交えながら進めますので、お気軽にどうぞ。


催 し:短編朗読会「真田軍記・本多忠勝の女(むすめ)」
日 時:2016年10月16日(日)13時~14時
ところ:井上靖文学館
講 師:村上裕子(SBS学苑講師・元SBSアナウンサー)
定 員:25名
参加費:500円(入館料含む・中学生以下は無料です)
申し込み:事前にご予約ください


「西岡屋」のモデル・西村屋

【お問合せ】
井上靖文学館:電話055-986-1771(毎週水曜は休館日です)



古里だより 長月(三)


『穂高の月』

2016/9/15更新



井上靖『穂高の月』がヤマケイ文庫より刊行されました。
代表作『氷壁』の舞台・穂高岳や、ふるさと天城湯ヶ島、作品の背景など、エッセイ50編が収録されています。

著書名:『穂高の月』
著 者:井上靖
発行日:2016年7月30日
発行所:ヤマケイ文庫(山と渓谷社)
内 容:
1・天城の雲
少年時代の原風景について
2・穂高の月
山との出会いと「氷壁」の舞台を訪ねて
3・日本の風景
文学者の自然観
4・作品の周辺
山を舞台とした作品について
仕 様:文庫版、288ページ
価格:880円+税

「西岡屋」のモデル・西村屋

当館でも販売を開始。全国の書店にて購入できます。




古里だより 長月(二)


『父 井上靖と私』

2016/9/1更新



4月に刊行された『父 井上靖と私』(浦城いくよ・著、ユーフォーブックス)は、全国の書店で販売され、すぐに重版がかかるなど、多くの反響が寄せられました。
そこで、書籍刊行を記念し、井上靖長女の浦城さんにお話いただきます。
井上家の住まいの変遷を軸に、作品にまつわる話が語られます。

「西岡屋」のモデル・西村屋

催 し:文学館講座「父 井上靖と私」
日 時:2016年9月25日(日)13時~14時
ところ:井上靖文学館
講 師:浦城いくよ(井上靖長女)
定 員:25名
参加費:500円(入館料含む・中学生以下は無料です)
申し込み:事前にご予約ください

【お問合せ】
井上靖文学館:電話055-986-1771 (毎週水曜は休館日です)



古里だより 長月(一)


「真田軍記」展、はじまる

2016/9/1更新




9月1日(木)より「真田軍記」展が始まりました。
展示室では、小説『真田軍記』の世界を分かりやすく紹介しています。

「西岡屋」のモデル・西村屋
真田幸村像・長野県上田駅前

【展示資料】
寛永年間の上田古地図、『真田軍記』初版本、掲載誌、執筆資料、取材写真など


さらに、戦国時代にちなむ作品群として、『風林火山』、『本覚坊遺文』、『淀どの日記』などを展示。
いずれも、歴史上の英雄ではなく、兵士などの視点に立って歴史が描かれ、「名もなき人たちの努力によって歴史がつくられる」という井上の歴史観が表れています。

「西岡屋」のモデル・西村屋
作品の舞台・千曲川

短編朗読会「本多忠勝の女」(『真田軍記』より)など、会期中に関連イベントを予定しています。



古里だより 葉月(三)


『真田軍記』の舞台をめぐる~信州から北関東へ~

2016/8/19更新



「戦国時代ほど人間の運命や生き方がくっきりと、あたかも月光に照らされた一本の川筋のように洗われて見える時代はない」
「戦国時代の女性」より

井上靖は、武田の軍師・山本勘助を主人公にした『風林火山』、利休の弟子の視点から自刃の謎に迫る『本覚坊遺文』、茶々の物語『淀どの日記』など、戦国時代にちなむ小説を多く残しました。
数ある歴史小説の中から、今回は『真田軍記』の舞台を訪ねました。

「西岡屋」のモデル・西村屋
長野県上田市・上田城の西櫓

「真田一族は作者の幼少時代の憧憬であり、夢であった。」
「作者の言葉」より

「西岡屋」のモデル・西村屋
小松姫の墓所

真田へも加担しなかったし、実家の本多へも加担しなかった。彼女は自分のただ一つの生き方として今や夫信之に加担したのであった。
「やはり、本多の娘だな」
「本多忠勝の女」『真田軍記』より

「西岡屋」のモデル・西村屋
群馬県沼田市・沼田城址

その途中犬伏という部落に宿営したが、その夜上方からの飛脚が石田三成の密書を持って来た。昌幸父子はそれを、部落の小さい寺の中庭で読んだ。春とは言え夜風の冷たい夜であった。
「本多忠勝の女」『真田軍記』より

「西岡屋」のモデル・西村屋
栃木県佐野市・「犬伏の別れ」真田父子が別れていく場面・犬伏薬師堂

次回「真田軍記」展は、9月1日(木)より開催いたします。



古里だより 葉月(二)


博物館実習生と夏休みワークショップ

2016/8/19更新

毎夏恒例、博物館実習生の受け入れの季節。
8月8日(月)~8月14日(日)まで、静岡大学国語教育専修3年生の2名が実習に取り組みました。
今回の実習では、ワークショップの準備・実施を中心に、本のカバー掛け、展示のキャプション作成、パネル貼り付けなど、実際の作業を行いました。

「西岡屋」のモデル・西村屋
8月13日(土)「昔ながらの和綴じの本をつくってみよう」では、小学生から大人の方まで5名と和綴じ本を作りました。
まずは実習生が「和綴じ」の歴史を簡単にお話します。現在、展示している100年前の教科書も和綴じの本ですね。

表紙と背表紙、紙ひもを選んだら、表紙、背表紙、本文の紙を折ります。
表紙と背表紙を糊付けした後、紙ひもを通す部分に穴をあけていきます。
ひもを通す部分が和綴じ本の醍醐味!

「西岡屋」のモデル・西村屋

一見難しいようですが、慣れたら同じ作業を繰り返し、縫って、縫って…完成!

「西岡屋」のモデル・西村屋

それぞれの和綴じ本が出来上がりました。
本文をスケッチ用の紙にしたり、紙ひもを変えたり、アレンジも可能です。

また来年も夏休みワークショップを行いたいと思います。



古里だより 葉月(一)


梶井基次郎、井上靖と京都

2016/8/1更新

梅雨明け後の七月下旬、梶井基次郎の『檸檬』の舞台・丸善京都を訪ねました。

何処をどう歩いたのだろう、私が最後に立ったのは丸善の前だった。(略)
「あ、そうだそうだ」その時私は袂の中の檸檬を憶(おも)い出した。本の色彩をゴチャゴチャに積みあげて、一度この檸檬で試して見たら。「そうだ」
『檸檬』より

大阪で生まれた梶井は、旧制第三高等学校(現・京都大学)を卒業しました。
丸善京都本店では、文芸書と『檸檬』コーナーに当館編集の『梶井基次郎と湯ヶ島』を置いてくださっています。

「西岡屋」のモデル・西村屋

次に、井上靖が柔道の試合に臨んだ武徳殿(京都市武道センター内)へ。
中学時代から柔道部に入部し、第四高等学校(現・金沢大学)時代は、「練習量が全てを決める」柔道に打ち込んだ井上。それは、高専柔道と呼ばれる、いきなり寝技に持ち込めるという独特なものでした。

「西岡屋」のモデル・西村屋

武徳殿は高専柔道の選手たちが集う聖地。国の重要文化財に指定されています。

四高柔道部時代、武徳殿にて行われた全国高専優勝柔道大会に出場した井上は、三人抜きを演じました。

さらに、井上靖が学生時代、後に妻となるふみとデートしたという吉田神社に足を伸ばしました。
井上がふみ夫人と初めて出会ったのは、四高時代のこと。その後、井上は京都帝国大学の学生となり、在学中に結婚しました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

次回のゆかりの地レポートは、『真田軍記』の上田・沼田編を予定しています。



古里だより 文月(三)


和綴じの本をつくってみよう

2016/7/22更新

夏休みのワークショップ、あすなろ道場も4年目となりました。
今年は昔なつかしい和綴じの本づくり。完成した本は、ノートや日記として使えます。

催 し:「昔ながらの和綴じの本をつくってみよう!」
日 時:2016年8月13日(土)13時~14時
ところ:井上靖文学館
定 員:5名(親子で参加も大歓迎!)
参加費:500円(入館料含む・中学生以下は無料です)
申し込み:事前にご予約ください

「西岡屋」のモデル・西村屋

【お問合せ】
井上靖文学館:電話055-986-1771 (毎週水曜は休館日です)



古里だより 文月(二)


梶井基次郎「檸檬忌」の復活

2016/7/22更新

現在開催中の「しろばんば時代の伊豆湯ヶ島~川端康成・梶井基次郎、井上靖~」展。本展では、三人が湯ヶ島にいた頃のつながりや風物を当時の資料とともに紹介しています。 関連する催しとして、梶井基次郎「檸檬忌」を16年ぶりに開催しました。

まずは、井上靖の母校である旧湯ヶ島小学校にて、桜美林大学教授・勝呂奏さんによる「『梶井基次郎と湯ヶ島』復刊の意義」。梶井にとって湯ヶ島時代とは何だったのか、川端康成や井上靖の作品との関連性などが語られました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

解説の後は、檸檬ジュースを片手に文学散歩です。湯道を通って湯本館へ……

「西岡屋」のモデル・西村屋

湯本館では、ご主人の土屋さんに川端が逗留した部屋を案内していただきました。さらに、湯本館から湯川屋への道は、小説「闇の絵巻」の世界に浸りながら歩きます。

最後に、梶井基次郎文学碑と檸檬塚の前で在りし日の梶井を偲びました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

檸檬や復刊した『梶井基次郎と湯ヶ島』を供え、参加者の皆さんは梶井の作品や湯ヶ島の自然について話を弾ませていました。檸檬ケーキのお土産、檸檬づくしの一日となりました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

当館では、これからも湯ヶ島の風土が生んだたくさんの作品を大切にしていきたいと考えています。梅雨の明けた暑い夏の日、湯ヶ島に爽やかな風が吹いていました。


古里だより 文月(一)


梶井基次郎「檸檬忌」

2016/7/2更新

「しろばんば時代の伊豆湯ヶ島~川端康成・梶井基次郎、井上靖~」展に関連する催しとして、梶井基次郎「檸檬忌」を開催いたします。
湯ヶ島で「檸檬忌」を開催するのは16年ぶり。復活第一弾として、6月に復刊した『梶井基次郎と湯ヶ島』と檸檬を供えます。



「西岡屋」のモデル・西村屋

催 し:梶井基次郎「檸檬忌」
と き:2016年7月19日(火)
ところ:旧湯ヶ島小学校(13時:集合)
内 容:
1・13時~14時「『梶井基次郎と湯ヶ島』復刊の意義」
講師・勝呂奏(桜美林大学教授)
2・14時~16時・梶井の歩いた道・文学散歩
旧湯ヶ島小学校から湯本館(川端の部屋の見学)、
『闇の絵巻』の道に沿って湯川屋へ文学散歩
梶井基次郎文学碑・檸檬塚で在りし日の梶井を偲ぶ

定 員:30名
参加費:2,000円(『梶井基次郎と湯ヶ島』1,080円を含む)
予 約:事前にお申込みください(井上靖文学館:電話055-986-1771)
主 催:檸檬忌実行委員会
協 力:井上靖文学館
*定員に達したため、受付を終了いたしました。





古里だより 水無月(三)


「梶井基次郎と湯ヶ島」完成!

2016/6/19更新

このたび、展覧会関連書籍として「梶井基次郎と湯ヶ島」を刊行します。
湯ヶ島文士村と言われた時代、100年前の伊豆を閉じ込めた1冊です。

小説「檸檬」で知られる作家・梶井基次郎は、20篇あまりの作品を残し、31歳の若さでこの世を去りました。梶井は結核療養のため湯ヶ島を訪れ、川端康成の『伊豆の踊子』の校正を手伝うほか、自身も「冬の蝿」「闇の絵巻」「櫻の樹の下には」などを執筆しました。

本書は、梶井が逗留した宿・湯川屋のご主人・安藤公夫氏によって、昭和53年に刊行された本の復刊・新装版です。復刊にあたり、秋をイメージしたカバーになりました。
新たに約100年前の湯ヶ島の写真12点を収録。梶井の小説六篇は、旧かな遣いから新かな遣いへ修正し、読みやすくなりました!
来月には梶井を偲ぶ「檸檬忌」開催を予定しています。

「西岡屋」のモデル・西村屋

著書名:「梶井基次郎と湯ヶ島」
発 行:松本亮三文庫
編 集:安藤公夫(改訂編集:井上靖文学館)
発 行:2016年6月20日(月)
内 容:
・湯ヶ島時代の梶井/手紙、作品から当時の様子を紐解く
・湯ヶ島時代の作品・六篇/「蒼穹」「櫻の樹の下には」「闇の絵巻」など
仕 様:四六判、235ページ
価 格:1000円+税
デザイン:木村美穂(きむら工房)


県内の一部書店(戸田書店、マルサン書店、長倉書店、サガミヤ書店)と、
小説『檸檬』の舞台として知られる丸善京都本店でも取り扱われます!


古里だより 水無月(二)


「補陀落渡海記」と「渦」・南紀の旅

2016/6/19更新

小説「補陀落渡海記」と詩「渦」の舞台を訪ねるため、和歌山県の那智勝浦へ向かいました。
インドの南方にあるとされる観音菩薩の住処、補陀落(ふだらく)を目指して渡海する補陀落信仰。日本では、熊野や日光がなぞらえられ、平安時代から江戸時代まで、小型の船に行者が乗り、沖へ出るという「捨身行」が行われました。


「補陀落渡海記」
1961(昭和36)年、『群像』へ発表。井上靖54歳。
補陀洛山寺の住職・金光坊は渡海に出るとされる年齢になったが、まだ心が決まらなかった。周囲からの期待に応えようと、苦しみながらも渡海の日を迎えるが、船から脱出し・・・。 実際に起こった「金光坊事件」を主題とした短編歴史小説。

「西岡屋」のモデル・西村屋
補陀洛山寺

「金光坊は、自分の眼にも補陀落の浄土が見えて来たら、どんなにいいだろうと思った。祐信や梵鶏の、常人のそれとは思われぬ青い光を発している眼も羨ましかった。」


「西岡屋」のモデル・西村屋
復元された船

「西岡屋」のモデル・西村屋
浜の宮 ここから渡海へ


「舟に移される時、それでも聞き取れるか取れないかの声で、救けてくれ、と言った。何人かの僧はその金光坊の声を聞いた筈だったが、それは言葉として彼等の耳には届かなかった。」


翌日はJR紀伊本線で新宮市と熊野市へ。
新宮市の佐藤春夫記念館では、井上靖の自筆メッセージや、芥川賞受賞の時の佐藤の選評を拝見しました。文京区の自宅を移築した記念館は、自らデザインしたという玄関ホールの柱やサンルームなど、こだわりの住まいでした。
門弟三千人と言われ、文壇の重鎮だった佐藤春夫。井上が新聞記者時代に執筆した「猟銃」を佐藤が激賞し、『文学界』へ掲載されるなど、デビューのきっかけを作りました。


さらに、熊野市駅からレンタサイクルで海岸線を疾走し、鬼ヶ城へ。

「昔熊野の鬼たちはここに集り棲んだ。
彼等は風に髮を飛ばし渦を啖い夜はよもすがら岩を揺すぶる波濤の音の中に眠った。
月明の夜より雷鳴の夜を好んだ。二本の角は稲妻の中で生き生きとした。―鬼ヶ城にて― 」

「西岡屋」のモデル・西村屋
2009年2月1日建立。素材は那智黒石。

井上靖が熊野在住の友人に贈った詩歌が刻まれています。
その場で友人に贈ったため全集等にも記載がなく、貴重な作品。
鬼ヶ城は詩「渦」でも詠まれており、小説「死と恋と波と」の舞台にもなっています。



古里だより 水無月(一)


静岡県文化奨励賞を受賞しました

2016/6/5更新

6月3日(金)、静岡県庁にて県文化奨励賞の授賞式が行われました。
同賞は、静岡県の文化の振興と向上に寄与する個人や団体の活動を奨励するため、昭和37年より始まりました。

今年の受賞は、落語家の春風亭昇太さん(静岡市出身)、サクソフォン演奏家の須川展也さん(浜松市出身)と当館(長泉町)のニ個人一団体でした。

今年で43年目を迎える井上靖文学館。
また新たな気持ちをもって、郷土の作家・井上靖の作品を読み継ぐ活動を続けてまいりたいと思います。


「西岡屋」のモデル・西村屋

写真は授賞式後の一枚。
左から、推薦してくださった勝呂奏さん(桜美林大学教授)、当館常務理事、井上靖長女の浦城幾世さん、川勝知事と。


古里だより 皐月(二)


文学館で地域学習「伊豆を知ろう!」

2016/5/28更新

風薫る五月、文学館では小学生、中学生、大学生と、地域や文学を学ぶ「特別授業」を行いました。

【筑波大学附属中学校3年・修学旅行・文学コース】
「修学旅行を始めた」筑波大学附属中学校。
1年生は『しろばんば』、2年生は『夏草冬濤』を必読書として、長年に渡って先輩たちも読んできました。
3年生の修学旅行テーマは、文学、農業体験などから選択し、文学コースの生徒は事前に伊豆ゆかりの作品、作家を学習します。
川端康成、梶井基次郎、若山牧水、井上靖、太宰治の班にわかれ、自分なりのテーマをもって伊豆へ…。
文学館の見学、天城中学校との交流会、湯ヶ島散策を行いました。

「西岡屋」のモデル・西村屋


【伊豆市立天城小学校5年】
井上靖の母校・湯ヶ島小学校を含む三校が統合され、開校した天城小学校。
井上が天城の子どもたちへ贈った詩「地球上で一番清らかな広場」を全員で暗唱しました。
天城小学校が開校して3年。湯ヶ島学校の伝統「地球上で・・・」の暗唱が再びよみがえりました。
5年生はいよいよ地域学習が始まります。
「西岡屋」のモデル・西村屋


【日本大学国際関係学部4年】
「地域研究Ⅱ」の授業で、文学館と地域とのつながりの話をしました。
出張授業、出前展示、旅館へ本棚を置くプロジェクト「伊豆湯治箱」など、
これからも地域と関わり、連携を持ちながら文学館活動に取り組んでいきたいと思います。

「西岡屋」のモデル・西村屋


古里だより 皐月(一)


「父 井上靖と私」

2016/5/8更新

このたび、井上靖長女・浦城いくよさんが著書「父 井上靖と私」を出版されました。
東京、横浜ほか、静岡県内の書店に並び、文学館でも5月より販売を始めました。


著書名:「父 井上靖と私」
著 者:浦城いくよ(井上靖長女)
発 行:2016年4月
仕 様:四六判並製、278ページ
価 格:1,500円+税
出版社:ユーフォーブックス
内 容:家族から見た父・井上靖の姿、旅の思い出、
「氷壁」「天平の甍」「孔子」作品にまつわる話など、読みやすい文体で書かれています。


「西岡屋」のモデル・西村屋


当館編集・発行の井上靖「中国行軍日記」も好評販売中です。
作家・井上靖の人柄がわかる一冊、ぜひ手にとってみてください。

古里だより 卯月(三)


瓊花(けいか)まつりと生誕記念日

2016/4/23更新

「天平の甍」鑑真ゆかりの瓊花(けいか)が満開となりました。
例年よりも早い開花となりましたので、お花をご覧になりたい方は4月中がおすすめです。
新緑の中、清々しい風を感じに、遊びにいらしてください。

○瓊花(けいか)まつり
4/29(金・祝)~5/6(金)
期間中の土日祝日は、13時より小説「天平の甍」と瓊花(けいか)について、お話いたします。
文学館前庭にてお集まりください。参加無料です。


○井上靖109回目の生誕記念日
毎年、生誕記念日の5/6(金)は入館料無料となります。
先着100名、ガラポンに参加いただけます。


「西岡屋」のモデル・西村屋


【瓊花(けいか)】
鑑真ゆかりの中国揚州市の市花で、日本では唐招提寺や鑑真上陸の佐賀県立森林公園など、ゆかりの地だけに植栽されている珍しい花です。例年、見頃は4月の下旬から5月初旬。2013年、鑑真和上遷化1250年を記念して植樹しました。


古里だより 卯月(二)


子どもたちと新たな「出発」

2016/4/23更新

井上靖の作品が教科書へ掲載されたことをきっかけに、小学校へ出張授業にお邪魔しました。
4月12日(火)三島市立坂小学校6年生(元三島南小校長の小澤先生とともに)
4月15日(金)伊豆市立天城小学校6年生

学校図書の教科書『「国語」6年 上』の巻頭を飾る詩「出発」。
昨春、井上作品が10年ぶりに教科書に登場しました。

まずは目を瞑って、どんな場面か想像しながら、詩の音読を聞きます。
次に、全員でゆっくり読みます。
「繰り返し使われていることばは何だろう?」
「どの行が好きかな?」
小澤先生が優しく語りかけます。

後半は、当館スタッフによる、作者の井上靖がどんな人か紹介しながらのクイズ大会の予定でしたが、子どもたちがすぐ正解してしまったので、逆クイズ大会になりました。


「西岡屋」のモデル・西村屋


小学校最後の一年のはじまりの「出発」。
それぞれがスタートラインに立つ姿を思い浮かべながら、
最後に全員で音読をしました。


この春、学校図書の中学2年生の国語の教科書に、「孔子」と「利休の死」の一部が掲載されました。
文学館は、未来を担う子どもたちと、文学の楽しみや、地域学習の時間を共有したいと考え、今後も出張授業や出前講座を続けていきたいと思います。


古里だより 卯月(一)


しろばんば時代の伊豆湯ヶ島

2016/4/9更新

100年前へタイムスリップ!「しろばんば時代の伊豆湯ヶ島~川端康成・梶井基次郎・井上靖」展がはじまりました。

本展では、川端が土地の人たちと楽しんだ碁石、梶井が湯川屋で使用した机、小学校時代の井上靖の記録(賞状授名簿)、大正・昭和初期の下駄、柳行李、徳利、お猪口などを展示しています。


「西岡屋」のモデル・西村屋


100年前の写真が館内を彩り、しろばんばの舞う文学館。
4月下旬には『天平の甍』鑑真ゆかりのケイカの花も咲き始めます。


「西岡屋」のモデル・西村屋
大正から昭和初期の湯ヶ島 (足立敏啓 所蔵)

「あなたも湯ヶ島文士村の村民になりませんか?」
湯ヶ島文士村パスポートは誰でも参加できます。館内のスタンプを集めて、旅に持っていきたい一冊を書いてみましょう!


古里だより 弥生(二)


中国行軍日記

2016/3/19更新

当館にて開催中の「井上靖と戦争、ふるさと、家族」展の関連書籍「中国行軍日記」が完成しました。

井上靖は1937(昭和12)年8月に応召、10月より二等兵(輜重兵)として中国・北支の地を行軍しました。当時30歳。11月に脚気と診断され、野戦病院に入院、翌年に内地送還されました。

本書には、当時の写真と、昨秋に井上靖の行軍の足跡を訪ねた中国調査旅行の写真をあわせて収録しました。
日記、手紙、行軍体験を作品化した小説がまとまって単行本になるのは初めてのことです。


著 書 名 :井上靖「中国行軍日記」
編集・発行 :井上靖文学館
刊 行 日 :2016年3月18日(金)
仕   様 :四六判、144ページ
価   格 :1000円+税
デザイン  :木村美穂(きむら工房)

「西岡屋」のモデル・西村屋


内 容:
1・「中国行軍日記」
召集令状の届いた1937(昭和12)年8月より内地送還された3月までの記録
2・戦地からの手紙「軍事郵便」
召集令状を知らせる父からの手紙1通、北支から両親へ宛てた手紙5通(初翻刻)
3・小説『異国の星』より「あの夜の兵士へ」「富士を詠える兵士」
「井上靖全集」未収録のため現在手に取るのが難しい作品をおさめました
4・井上靖次女・黒田佳子氏によるエッセイ「80年前の時を訪ねて」


「井上靖と戦争、ふるさと、家族」展は3月29日(火)まで開催いたします。
「中国行軍日記」は会期終了後も販売し、県内の一部書店でも取り扱われます。
詳しくは井上靖文学館(電話:055-986-1771)までお問い合わせください。


古里だより 弥生(一)


真田軍記

2016/3/5更新

「幸村は杢と角兵衛という日本一の百姓を知人に持って倖せだったと思う」


NHK大河ドラマ「真田丸」をもっと楽しみたい方へ、井上靖の「真田軍記」はいかがでしょうか。


「西岡屋」のモデル・西村屋
『真田軍記』 1955(昭和30)年8月より11月まで『小説新潮』へ連載。
井上48歳。
真田幸村や森蘭丸などを描いた短編集。

角川文庫「真田軍記」は当館にてお求めいただけます。


古里だより 如月(三)


春近し、3月の催し

2016/2/20更新

「井上靖と戦争、家族、ふるさと」展の最後の講座「父の中国行軍日記」を開催いたします。
2015年11月、井上靖次女の黒田佳子さんは、井上が行軍した中国の地をその目におさめました。北京から旧道を南下し、保定、石家荘、元氏まで…。
中国調査旅行の話から、井上靖が語った言葉まで、たっぷりお話していただきます。

【文学館講座「父の中国行軍日記」】
と き  3月13日(日)13時~14時・質問を含め14時30分終了予定です。
ところ  井上靖文学館2階
講 師  黒田 佳子さん(詩人・井上靖次女)
定 員  25名  ◆事前にご予約ください
参 加  500円(入館料をふくむ)

「西岡屋」のモデル・西村屋
詩「落日」の舞台をたずねて・中国・保定郊外の麦畑にて

【ご予約・お問合せ】
井上靖文学館:電話055-986-1771 (毎週水曜は休館日です)


古里だより 如月(二)


新しい本棚ができました!

2016/2/20更新

館内の映像コーナーに新たな本が仲間入りしました。
「揺れる耳飾り」「凍れる樹」「春の嵐」「額田女王」「孔子」など、初版本を含む単行本、文庫本、関連書籍など100冊を自由に閲覧することができます。

「西岡屋」のモデル・西村屋

新しい本棚は、沼津の「英文堂書店」、東京の「古書 大雄峰」の寄贈により実現しました。
味わい深い装丁の初版本を手に取ってみてください。

「西岡屋」のモデル・西村屋


古里だより 如月(一)


舞台「猟銃」

2016/2/6更新

2011年の初演から5年。
舞台「猟銃」が4月より再演されることになりました。

舞台「猟銃」
公演日程:2016年4月2日 (土) ~2016年4月24日 (日)(以降、全国各地)
会場:パルコ劇場ほか
原作:井上靖『猟銃』
演出:フランソワ・ジラール
出演:中谷美紀、ロドリーグ・プロトー
http://www.parco-play.com/web/

『猟銃』
1949(昭和24)年10月『文学界』へ発表。井上靖42歳。
妻、愛人、その娘という三人の女性の手紙によって浮き彫りになる一人の男の姿。十三年に渡る不倫と、人間の業を描く。
「西岡屋」のモデル・西村屋

初版本、1950(昭和25)年3月、文藝春秋新社、装幀・猪熊弦一郎
「猟銃」「闘牛」「通夜の客」を収録

「猟銃」は、毎日新聞の記者時代に執筆し、佐藤春夫や大佛次郎らの手を経て
「文学界」へ掲載された芥川賞候補作です。同時期に書いた「闘牛」により第22回芥川賞を受賞しました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

新潮文庫「猟銃・闘牛」は当館にて好評販売中です。


古里だより 睦月(三)


あすなろ忌~冬の湯ヶ島

2016/1/30更新

井上靖の命日1月29日に合わせて、毎年湯ヶ島で行われる「あすなろ忌」。

今年は、全国的に寒波の到来した1月24日(日)に開催されました。

まずは、熊野山共同墓地にて墓参。
井上家をはじめ、関係者、井上作品のファンの方々、地元の方々など、井上靖とふみ夫人のお墓で手を合わせました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

続いて、井上靖作品読書感想文コンクールの表彰・発表です。
夏休みに読んだ「しろばんば」「あすなろ物語」など、子どもたちの感性が光ります。
「西岡屋」のモデル・西村屋

お昼休憩の時間には、「しろばんば」の散策や、旧湯ヶ島小学校井上靖記念室の見学など、多くの参加者が文学散歩を楽しみました。
午後は、劇団しろばんばによる公演「しろばんば~家族~」。今年も天城会館は満席の盛況ぶりでした。

「西岡屋」のモデル・西村屋

「西岡屋」のモデル・西村屋

「西岡屋」のモデル・西村屋


井上靖が1991(平成3)年1月29日に亡くなってから25年になります。
2015年には10年ぶりに教科書へ井上作品が掲載されました。学校図書の「国語6年生・上」の巻頭を飾る詩「出発」です。
子どもたちはかけがえのない「出発」を経験することでしょう。

古里だより 睦月(二)


中国行軍の地をめぐる旅

2016/1/21更新

井上靖は1937(昭和12)年9月より11月まで、二等兵(輜重兵)として中国北支の地を行軍しました。
その時の記録を毎日新聞社の社員手帳に日記として綴りましたが、生前公開されることはありませんでした。

その後、井上ふみ夫人の一周忌を経て、遺族によって公開された「中国行軍日記」は、雑誌『新潮』へ掲載され、「戦場で書いた率直な想い」は大きな反響を呼びました。
今回の取材旅行は、現在開催中の「井上靖と戦争・家族・ふるさと」展に合わせて企画されたものです。
参加者は井上靖次女の黒田佳子さんら六名。
旅行をお願いしたのは、旅行会社遊路トラベル。代表の志賀氏は、井上靖が初めて敦煌を訪れた時に案内をした方です。
中国側のガイド陳静さん、ドライバー侯立軍さんとともに三泊四日の旅が始まります。

<1日目>
11月9日(月)北京~涿州)
羽田空港~北京空港~旧豊台駅~盧溝橋~瑠璃河(旧橋)

「西岡屋」のモデル・西村屋
行軍が始まった豊台駅
「西岡屋」のモデル・西村屋
盧溝橋

【行軍日記より抜粋】1937(昭和12)年10月1日
朝4時豊台着。
10月7日 四時起床、出発準備。午前九時、保定に向つて行進。ロ溝橋12時。

<2日目>
11月10日(火)涿州~石家荘
永済橋~城壁~平家営~保定中学~麦畑~方順橋~定州城壁


「西岡屋」のモデル・西村屋
詩「老兵」の舞台で黒田さん朗読

【行軍日記より抜粋】1937(昭和12)年10月13日
今日は九時方順橋に向つて進軍。
銃の発條を失ひおどろく。病馬と共に遅れた溝口班長を向ひに行つた本部の大鳥君が拾ふ。大助り。
*詩「老兵」や小説「異国の星」など、繰り返し書かれる出来事。

<3日目>
11月11日(水)石家荘~元氏~石家荘
正定~五里舗村、綿畑~正定駅~コダ河~石家荘駅~元氏駅
「西岡屋」のモデル・西村屋
旧元氏駅 詩「別れ」の舞台

【行軍日記より抜粋】1937(昭和12)年11月19日
山田軍医、看ゴ長が入院した方がよかろうと立ち所に入院決定。
駅でみなと別れる。ひどいぬかるみ路―これが何十里つづくと思ふと、
明日からに行軍の辛さが思ひやられてみんなにすまない気になる。
七時乗車。戦傷患者をも含んだ前線からの歩兵部隊の中にはさまつてのる。無蓋貨車。

*詩「別れ」や小説「異国の星」など、幾度も書かれたエピソード。

ガイドの陳さんが町の人たちに聞きながら探してくださったお蔭で、当時の場所を撮影することができました。
今回の調査旅行について、3月発行の『井上靖 中国行軍日記』に詳しく収録する予定です。

古里だより 睦月(一)


新年のご挨拶

2016/1/9更新

本年もよろしくお願い申しあげます。

「井上靖と戦争・家族・ふるさと」展は、行軍日記の展示ページの変更、
また当時の軍服の展示を追加しました。
1/24(日)には、伊豆市湯ヶ島にて井上靖追悼「あすなろ忌」が開催されます。


「西岡屋」のモデル・西村屋
暖冬の影響で早めの開花となった文学館の椿