古里だより

古里だより 長月(三)


『穂高の月』

2016/9/15更新



井上靖『穂高の月』がヤマケイ文庫より刊行されました。
代表作『氷壁』の舞台・穂高岳や、ふるさと天城湯ヶ島、作品の背景など、エッセイ50編が収録されています。

著書名:『穂高の月』
著 者:井上靖
発行日:2016年7月30日
発行所:ヤマケイ文庫(山と渓谷社)
内 容:
1・天城の雲
少年時代の原風景について
2・穂高の月
山との出会いと「氷壁」の舞台を訪ねて
3・日本の風景
文学者の自然観
4・作品の周辺
山を舞台とした作品について
仕 様:文庫版、288ページ
価格:880円+税

「西岡屋」のモデル・西村屋

当館でも販売を開始。全国の書店にて購入できます。




古里だより 長月(二)


『父 井上靖と私』

2016/9/1更新



4月に刊行された『父 井上靖と私』(浦城いくよ・著、ユーフォーブックス)は、全国の書店で販売され、すぐに重版がかかるなど、多くの反響が寄せられました。
そこで、書籍刊行を記念し、井上靖長女の浦城さんにお話いただきます。
井上家の住まいの変遷を軸に、作品にまつわる話が語られます。

「西岡屋」のモデル・西村屋

催 し:文学館講座「父 井上靖と私」
日 時:2016年9月25日(日)13時~14時
ところ:井上靖文学館
講 師:浦城いくよ(井上靖長女)
定 員:25名
参加費:500円(入館料含む・中学生以下は無料です)
申し込み:事前にご予約ください

【お問合せ】
井上靖文学館:電話055-986-1771 (毎週水曜は休館日です)



古里だより 長月(一)


「真田軍記」展、はじまる

2016/9/1更新




9月1日(木)より「真田軍記」展が始まりました。
展示室では、小説『真田軍記』の世界を分かりやすく紹介しています。

「西岡屋」のモデル・西村屋
真田幸村像・長野県上田駅前

【展示資料】
寛永年間の上田古地図、『真田軍記』初版本、掲載誌、執筆資料、取材写真など


さらに、戦国時代にちなむ作品群として、『風林火山』、『本覚坊遺文』、『淀どの日記』などを展示。
いずれも、歴史上の英雄ではなく、兵士などの視点に立って歴史が描かれ、「名もなき人たちの努力によって歴史がつくられる」という井上の歴史観が表れています。

「西岡屋」のモデル・西村屋
作品の舞台・千曲川

短編朗読会「本多忠勝の女」(『真田軍記』より)など、会期中に関連イベントを予定しています。



古里だより 葉月(三)


『真田軍記』の舞台をめぐる~信州から北関東へ~

2016/8/19更新



「戦国時代ほど人間の運命や生き方がくっきりと、あたかも月光に照らされた一本の川筋のように洗われて見える時代はない」
「戦国時代の女性」より

井上靖は、武田の軍師・山本勘助を主人公にした『風林火山』、利休の弟子の視点から自刃の謎に迫る『本覚坊遺文』、茶々の物語『淀どの日記』など、戦国時代にちなむ小説を多く残しました。
数ある歴史小説の中から、今回は『真田軍記』の舞台を訪ねました。

「西岡屋」のモデル・西村屋
長野県上田市・上田城の西櫓

「真田一族は作者の幼少時代の憧憬であり、夢であった。」
「作者の言葉」より

「西岡屋」のモデル・西村屋
小松姫の墓所

真田へも加担しなかったし、実家の本多へも加担しなかった。彼女は自分のただ一つの生き方として今や夫信之に加担したのであった。
「やはり、本多の娘だな」
「本多忠勝の女」『真田軍記』より

「西岡屋」のモデル・西村屋
群馬県沼田市・沼田城址

その途中犬伏という部落に宿営したが、その夜上方からの飛脚が石田三成の密書を持って来た。昌幸父子はそれを、部落の小さい寺の中庭で読んだ。春とは言え夜風の冷たい夜であった。
「本多忠勝の女」『真田軍記』より

「西岡屋」のモデル・西村屋
栃木県佐野市・「犬伏の別れ」真田父子が別れていく場面・犬伏薬師堂

次回「真田軍記」展は、9月1日(木)より開催いたします。



古里だより 葉月(二)


博物館実習生と夏休みワークショップ

2016/8/19更新

毎夏恒例、博物館実習生の受け入れの季節。
8月8日(月)~8月14日(日)まで、静岡大学国語教育専修3年生の2名が実習に取り組みました。
今回の実習では、ワークショップの準備・実施を中心に、本のカバー掛け、展示のキャプション作成、パネル貼り付けなど、実際の作業を行いました。

「西岡屋」のモデル・西村屋
8月13日(土)「昔ながらの和綴じの本をつくってみよう」では、小学生から大人の方まで5名と和綴じ本を作りました。
まずは実習生が「和綴じ」の歴史を簡単にお話します。現在、展示している100年前の教科書も和綴じの本ですね。

表紙と背表紙、紙ひもを選んだら、表紙、背表紙、本文の紙を折ります。
表紙と背表紙を糊付けした後、紙ひもを通す部分に穴をあけていきます。
ひもを通す部分が和綴じ本の醍醐味!

「西岡屋」のモデル・西村屋

一見難しいようですが、慣れたら同じ作業を繰り返し、縫って、縫って…完成!

「西岡屋」のモデル・西村屋

それぞれの和綴じ本が出来上がりました。
本文をスケッチ用の紙にしたり、紙ひもを変えたり、アレンジも可能です。

また来年も夏休みワークショップを行いたいと思います。



古里だより 葉月(一)


梶井基次郎、井上靖と京都

2016/8/1更新

梅雨明け後の七月下旬、梶井基次郎の『檸檬』の舞台・丸善京都を訪ねました。

何処をどう歩いたのだろう、私が最後に立ったのは丸善の前だった。(略)
「あ、そうだそうだ」その時私は袂の中の檸檬を憶(おも)い出した。本の色彩をゴチャゴチャに積みあげて、一度この檸檬で試して見たら。「そうだ」
『檸檬』より

大阪で生まれた梶井は、旧制第三高等学校(現・京都大学)を卒業しました。
丸善京都本店では、文芸書と『檸檬』コーナーに当館編集の『梶井基次郎と湯ヶ島』を置いてくださっています。

「西岡屋」のモデル・西村屋

次に、井上靖が柔道の試合に臨んだ武徳殿(京都市武道センター内)へ。
中学時代から柔道部に入部し、第四高等学校(現・金沢大学)時代は、「練習量が全てを決める」柔道に打ち込んだ井上。それは、高専柔道と呼ばれる、いきなり寝技に持ち込めるという独特なものでした。

「西岡屋」のモデル・西村屋

武徳殿は高専柔道の選手たちが集う聖地。国の重要文化財に指定されています。

四高柔道部時代、武徳殿にて行われた全国高専優勝柔道大会に出場した井上は、三人抜きを演じました。

さらに、井上靖が学生時代、後に妻となるふみとデートしたという吉田神社に足を伸ばしました。
井上がふみ夫人と初めて出会ったのは、四高時代のこと。その後、井上は京都帝国大学の学生となり、在学中に結婚しました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

次回のゆかりの地レポートは、『真田軍記』の上田・沼田編を予定しています。



古里だより 文月(三)


和綴じの本をつくってみよう

2016/7/22更新

夏休みのワークショップ、あすなろ道場も4年目となりました。
今年は昔なつかしい和綴じの本づくり。完成した本は、ノートや日記として使えます。

催 し:「昔ながらの和綴じの本をつくってみよう!」
日 時:2016年8月13日(土)13時~14時
ところ:井上靖文学館
定 員:5名(親子で参加も大歓迎!)
参加費:500円(入館料含む・中学生以下は無料です)
申し込み:事前にご予約ください

「西岡屋」のモデル・西村屋

【お問合せ】
井上靖文学館:電話055-986-1771 (毎週水曜は休館日です)



古里だより 文月(二)


梶井基次郎「檸檬忌」の復活

2016/7/22更新

現在開催中の「しろばんば時代の伊豆湯ヶ島~川端康成・梶井基次郎、井上靖~」展。本展では、三人が湯ヶ島にいた頃のつながりや風物を当時の資料とともに紹介しています。 関連する催しとして、梶井基次郎「檸檬忌」を16年ぶりに開催しました。

まずは、井上靖の母校である旧湯ヶ島小学校にて、桜美林大学教授・勝呂奏さんによる「『梶井基次郎と湯ヶ島』復刊の意義」。梶井にとって湯ヶ島時代とは何だったのか、川端康成や井上靖の作品との関連性などが語られました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

解説の後は、檸檬ジュースを片手に文学散歩です。湯道を通って湯本館へ……

「西岡屋」のモデル・西村屋

湯本館では、ご主人の土屋さんに川端が逗留した部屋を案内していただきました。さらに、湯本館から湯川屋への道は、小説「闇の絵巻」の世界に浸りながら歩きます。

最後に、梶井基次郎文学碑と檸檬塚の前で在りし日の梶井を偲びました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

檸檬や復刊した『梶井基次郎と湯ヶ島』を供え、参加者の皆さんは梶井の作品や湯ヶ島の自然について話を弾ませていました。檸檬ケーキのお土産、檸檬づくしの一日となりました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

当館では、これからも湯ヶ島の風土が生んだたくさんの作品を大切にしていきたいと考えています。梅雨の明けた暑い夏の日、湯ヶ島に爽やかな風が吹いていました。


古里だより 文月(一)


梶井基次郎「檸檬忌」

2016/7/2更新

「しろばんば時代の伊豆湯ヶ島~川端康成・梶井基次郎、井上靖~」展に関連する催しとして、梶井基次郎「檸檬忌」を開催いたします。
湯ヶ島で「檸檬忌」を開催するのは16年ぶり。復活第一弾として、6月に復刊した『梶井基次郎と湯ヶ島』と檸檬を供えます。



「西岡屋」のモデル・西村屋

催 し:梶井基次郎「檸檬忌」
と き:2016年7月19日(火)
ところ:旧湯ヶ島小学校(13時:集合)
内 容:
1・13時~14時「『梶井基次郎と湯ヶ島』復刊の意義」
講師・勝呂奏(桜美林大学教授)
2・14時~16時・梶井の歩いた道・文学散歩
旧湯ヶ島小学校から湯本館(川端の部屋の見学)、
『闇の絵巻』の道に沿って湯川屋へ文学散歩
梶井基次郎文学碑・檸檬塚で在りし日の梶井を偲ぶ

定 員:30名
参加費:2,000円(『梶井基次郎と湯ヶ島』1,080円を含む)
予 約:事前にお申込みください(井上靖文学館:電話055-986-1771)
主 催:檸檬忌実行委員会
協 力:井上靖文学館
*定員に達したため、受付を終了いたしました。





古里だより 水無月(三)


「梶井基次郎と湯ヶ島」完成!

2016/6/19更新

このたび、展覧会関連書籍として「梶井基次郎と湯ヶ島」を刊行します。
湯ヶ島文士村と言われた時代、100年前の伊豆を閉じ込めた1冊です。

小説「檸檬」で知られる作家・梶井基次郎は、20篇あまりの作品を残し、31歳の若さでこの世を去りました。梶井は結核療養のため湯ヶ島を訪れ、川端康成の『伊豆の踊子』の校正を手伝うほか、自身も「冬の蝿」「闇の絵巻」「櫻の樹の下には」などを執筆しました。

本書は、梶井が逗留した宿・湯川屋のご主人・安藤公夫氏によって、昭和53年に刊行された本の復刊・新装版です。復刊にあたり、秋をイメージしたカバーになりました。
新たに約100年前の湯ヶ島の写真12点を収録。梶井の小説六篇は、旧かな遣いから新かな遣いへ修正し、読みやすくなりました!
来月には梶井を偲ぶ「檸檬忌」開催を予定しています。

「西岡屋」のモデル・西村屋

著書名:「梶井基次郎と湯ヶ島」
発 行:松本亮三文庫
編 集:安藤公夫(改訂編集:井上靖文学館)
発 行:2016年6月20日(月)
内 容:
・湯ヶ島時代の梶井/手紙、作品から当時の様子を紐解く
・湯ヶ島時代の作品・六篇/「蒼穹」「櫻の樹の下には」「闇の絵巻」など
仕 様:四六判、235ページ
価 格:1000円+税
デザイン:木村美穂(きむら工房)


県内の一部書店(戸田書店、マルサン書店、長倉書店、サガミヤ書店)と、
小説『檸檬』の舞台として知られる丸善京都本店でも取り扱われます!


古里だより 水無月(二)


「補陀落渡海記」と「渦」・南紀の旅

2016/6/19更新

小説「補陀落渡海記」と詩「渦」の舞台を訪ねるため、和歌山県の那智勝浦へ向かいました。
インドの南方にあるとされる観音菩薩の住処、補陀落(ふだらく)を目指して渡海する補陀落信仰。日本では、熊野や日光がなぞらえられ、平安時代から江戸時代まで、小型の船に行者が乗り、沖へ出るという「捨身行」が行われました。


「補陀落渡海記」
1961(昭和36)年、『群像』へ発表。井上靖54歳。
補陀洛山寺の住職・金光坊は渡海に出るとされる年齢になったが、まだ心が決まらなかった。周囲からの期待に応えようと、苦しみながらも渡海の日を迎えるが、船から脱出し・・・。 実際に起こった「金光坊事件」を主題とした短編歴史小説。

「西岡屋」のモデル・西村屋
補陀洛山寺

「金光坊は、自分の眼にも補陀落の浄土が見えて来たら、どんなにいいだろうと思った。祐信や梵鶏の、常人のそれとは思われぬ青い光を発している眼も羨ましかった。」


「西岡屋」のモデル・西村屋
復元された船

「西岡屋」のモデル・西村屋
浜の宮 ここから渡海へ


「舟に移される時、それでも聞き取れるか取れないかの声で、救けてくれ、と言った。何人かの僧はその金光坊の声を聞いた筈だったが、それは言葉として彼等の耳には届かなかった。」


翌日はJR紀伊本線で新宮市と熊野市へ。
新宮市の佐藤春夫記念館では、井上靖の自筆メッセージや、芥川賞受賞の時の佐藤の選評を拝見しました。文京区の自宅を移築した記念館は、自らデザインしたという玄関ホールの柱やサンルームなど、こだわりの住まいでした。
門弟三千人と言われ、文壇の重鎮だった佐藤春夫。井上が新聞記者時代に執筆した「猟銃」を佐藤が激賞し、『文学界』へ掲載されるなど、デビューのきっかけを作りました。


さらに、熊野市駅からレンタサイクルで海岸線を疾走し、鬼ヶ城へ。

「昔熊野の鬼たちはここに集り棲んだ。
彼等は風に髮を飛ばし渦を啖い夜はよもすがら岩を揺すぶる波濤の音の中に眠った。
月明の夜より雷鳴の夜を好んだ。二本の角は稲妻の中で生き生きとした。―鬼ヶ城にて― 」

「西岡屋」のモデル・西村屋
2009年2月1日建立。素材は那智黒石。

井上靖が熊野在住の友人に贈った詩歌が刻まれています。
その場で友人に贈ったため全集等にも記載がなく、貴重な作品。
鬼ヶ城は詩「渦」でも詠まれており、小説「死と恋と波と」の舞台にもなっています。



古里だより 水無月(一)


静岡県文化奨励賞を受賞しました

2016/6/5更新

6月3日(金)、静岡県庁にて県文化奨励賞の授賞式が行われました。
同賞は、静岡県の文化の振興と向上に寄与する個人や団体の活動を奨励するため、昭和37年より始まりました。

今年の受賞は、落語家の春風亭昇太さん(静岡市出身)、サクソフォン演奏家の須川展也さん(浜松市出身)と当館(長泉町)のニ個人一団体でした。

今年で43年目を迎える井上靖文学館。
また新たな気持ちをもって、郷土の作家・井上靖の作品を読み継ぐ活動を続けてまいりたいと思います。


「西岡屋」のモデル・西村屋

写真は授賞式後の一枚。
左から、推薦してくださった勝呂奏さん(桜美林大学教授)、当館常務理事、井上靖長女の浦城幾世さん、川勝知事と。


古里だより 皐月(二)


文学館で地域学習「伊豆を知ろう!」

2016/5/28更新

風薫る五月、文学館では小学生、中学生、大学生と、地域や文学を学ぶ「特別授業」を行いました。

【筑波大学附属中学校3年・修学旅行・文学コース】
「修学旅行を始めた」筑波大学附属中学校。
1年生は『しろばんば』、2年生は『夏草冬濤』を必読書として、長年に渡って先輩たちも読んできました。
3年生の修学旅行テーマは、文学、農業体験などから選択し、文学コースの生徒は事前に伊豆ゆかりの作品、作家を学習します。
川端康成、梶井基次郎、若山牧水、井上靖、太宰治の班にわかれ、自分なりのテーマをもって伊豆へ…。
文学館の見学、天城中学校との交流会、湯ヶ島散策を行いました。

「西岡屋」のモデル・西村屋


【伊豆市立天城小学校5年】
井上靖の母校・湯ヶ島小学校を含む三校が統合され、開校した天城小学校。
井上が天城の子どもたちへ贈った詩「地球上で一番清らかな広場」を全員で暗唱しました。
天城小学校が開校して3年。湯ヶ島学校の伝統「地球上で・・・」の暗唱が再びよみがえりました。
5年生はいよいよ地域学習が始まります。
「西岡屋」のモデル・西村屋


【日本大学国際関係学部4年】
「地域研究Ⅱ」の授業で、文学館と地域とのつながりの話をしました。
出張授業、出前展示、旅館へ本棚を置くプロジェクト「伊豆湯治箱」など、
これからも地域と関わり、連携を持ちながら文学館活動に取り組んでいきたいと思います。

「西岡屋」のモデル・西村屋


古里だより 皐月(一)


「父 井上靖と私」

2016/5/8更新

このたび、井上靖長女・浦城いくよさんが著書「父 井上靖と私」を出版されました。
東京、横浜ほか、静岡県内の書店に並び、文学館でも5月より販売を始めました。


著書名:「父 井上靖と私」
著 者:浦城いくよ(井上靖長女)
発 行:2016年4月
仕 様:四六判並製、278ページ
価 格:1,500円+税
出版社:ユーフォーブックス
内 容:家族から見た父・井上靖の姿、旅の思い出、
「氷壁」「天平の甍」「孔子」作品にまつわる話など、読みやすい文体で書かれています。


「西岡屋」のモデル・西村屋


当館編集・発行の井上靖「中国行軍日記」も好評販売中です。
作家・井上靖の人柄がわかる一冊、ぜひ手にとってみてください。

古里だより 卯月(三)


瓊花(けいか)まつりと生誕記念日

2016/4/23更新

「天平の甍」鑑真ゆかりの瓊花(けいか)が満開となりました。
例年よりも早い開花となりましたので、お花をご覧になりたい方は4月中がおすすめです。
新緑の中、清々しい風を感じに、遊びにいらしてください。

○瓊花(けいか)まつり
4/29(金・祝)~5/6(金)
期間中の土日祝日は、13時より小説「天平の甍」と瓊花(けいか)について、お話いたします。
文学館前庭にてお集まりください。参加無料です。


○井上靖109回目の生誕記念日
毎年、生誕記念日の5/6(金)は入館料無料となります。
先着100名、ガラポンに参加いただけます。


「西岡屋」のモデル・西村屋


【瓊花(けいか)】
鑑真ゆかりの中国揚州市の市花で、日本では唐招提寺や鑑真上陸の佐賀県立森林公園など、ゆかりの地だけに植栽されている珍しい花です。例年、見頃は4月の下旬から5月初旬。2013年、鑑真和上遷化1250年を記念して植樹しました。


古里だより 卯月(二)


子どもたちと新たな「出発」

2016/4/23更新

井上靖の作品が教科書へ掲載されたことをきっかけに、小学校へ出張授業にお邪魔しました。
4月12日(火)三島市立坂小学校6年生(元三島南小校長の小澤先生とともに)
4月15日(金)伊豆市立天城小学校6年生

学校図書の教科書『「国語」6年 上』の巻頭を飾る詩「出発」。
昨春、井上作品が10年ぶりに教科書に登場しました。

まずは目を瞑って、どんな場面か想像しながら、詩の音読を聞きます。
次に、全員でゆっくり読みます。
「繰り返し使われていることばは何だろう?」
「どの行が好きかな?」
小澤先生が優しく語りかけます。

後半は、当館スタッフによる、作者の井上靖がどんな人か紹介しながらのクイズ大会の予定でしたが、子どもたちがすぐ正解してしまったので、逆クイズ大会になりました。


「西岡屋」のモデル・西村屋


小学校最後の一年のはじまりの「出発」。
それぞれがスタートラインに立つ姿を思い浮かべながら、
最後に全員で音読をしました。


この春、学校図書の中学2年生の国語の教科書に、「孔子」と「利休の死」の一部が掲載されました。
文学館は、未来を担う子どもたちと、文学の楽しみや、地域学習の時間を共有したいと考え、今後も出張授業や出前講座を続けていきたいと思います。


古里だより 卯月(一)


しろばんば時代の伊豆湯ヶ島

2016/4/9更新

100年前へタイムスリップ!「しろばんば時代の伊豆湯ヶ島~川端康成・梶井基次郎・井上靖」展がはじまりました。

本展では、川端が土地の人たちと楽しんだ碁石、梶井が湯川屋で使用した机、小学校時代の井上靖の記録(賞状授名簿)、大正・昭和初期の下駄、柳行李、徳利、お猪口などを展示しています。


「西岡屋」のモデル・西村屋


100年前の写真が館内を彩り、しろばんばの舞う文学館。
4月下旬には『天平の甍』鑑真ゆかりのケイカの花も咲き始めます。


「西岡屋」のモデル・西村屋
大正から昭和初期の湯ヶ島 (足立敏啓 所蔵)

「あなたも湯ヶ島文士村の村民になりませんか?」
湯ヶ島文士村パスポートは誰でも参加できます。館内のスタンプを集めて、旅に持っていきたい一冊を書いてみましょう!


古里だより 弥生(二)


中国行軍日記

2016/3/19更新

当館にて開催中の「井上靖と戦争、ふるさと、家族」展の関連書籍「中国行軍日記」が完成しました。

井上靖は1937(昭和12)年8月に応召、10月より二等兵(輜重兵)として中国・北支の地を行軍しました。当時30歳。11月に脚気と診断され、野戦病院に入院、翌年に内地送還されました。

本書には、当時の写真と、昨秋に井上靖の行軍の足跡を訪ねた中国調査旅行の写真をあわせて収録しました。
日記、手紙、行軍体験を作品化した小説がまとまって単行本になるのは初めてのことです。


著 書 名 :井上靖「中国行軍日記」
編集・発行 :井上靖文学館
刊 行 日 :2016年3月18日(金)
仕   様 :四六判、144ページ
価   格 :1000円+税
デザイン  :木村美穂(きむら工房)

「西岡屋」のモデル・西村屋


内 容:
1・「中国行軍日記」
召集令状の届いた1937(昭和12)年8月より内地送還された3月までの記録
2・戦地からの手紙「軍事郵便」
召集令状を知らせる父からの手紙1通、北支から両親へ宛てた手紙5通(初翻刻)
3・小説『異国の星』より「あの夜の兵士へ」「富士を詠える兵士」
「井上靖全集」未収録のため現在手に取るのが難しい作品をおさめました
4・井上靖次女・黒田佳子氏によるエッセイ「80年前の時を訪ねて」


「井上靖と戦争、ふるさと、家族」展は3月29日(火)まで開催いたします。
「中国行軍日記」は会期終了後も販売し、県内の一部書店でも取り扱われます。
詳しくは井上靖文学館(電話:055-986-1771)までお問い合わせください。


古里だより 弥生(一)


真田軍記

2016/3/5更新

「幸村は杢と角兵衛という日本一の百姓を知人に持って倖せだったと思う」


NHK大河ドラマ「真田丸」をもっと楽しみたい方へ、井上靖の「真田軍記」はいかがでしょうか。


「西岡屋」のモデル・西村屋
『真田軍記』 1955(昭和30)年8月より11月まで『小説新潮』へ連載。
井上48歳。
真田幸村や森蘭丸などを描いた短編集。

角川文庫「真田軍記」は当館にてお求めいただけます。


古里だより 如月(三)


春近し、3月の催し

2016/2/20更新

「井上靖と戦争、家族、ふるさと」展の最後の講座「父の中国行軍日記」を開催いたします。
2015年11月、井上靖次女の黒田佳子さんは、井上が行軍した中国の地をその目におさめました。北京から旧道を南下し、保定、石家荘、元氏まで…。
中国調査旅行の話から、井上靖が語った言葉まで、たっぷりお話していただきます。

【文学館講座「父の中国行軍日記」】
と き  3月13日(日)13時~14時・質問を含め14時30分終了予定です。
ところ  井上靖文学館2階
講 師  黒田 佳子さん(詩人・井上靖次女)
定 員  25名  ◆事前にご予約ください
参 加  500円(入館料をふくむ)

「西岡屋」のモデル・西村屋
詩「落日」の舞台をたずねて・中国・保定郊外の麦畑にて

【ご予約・お問合せ】
井上靖文学館:電話055-986-1771 (毎週水曜は休館日です)


古里だより 如月(二)


新しい本棚ができました!

2016/2/20更新

館内の映像コーナーに新たな本が仲間入りしました。
「揺れる耳飾り」「凍れる樹」「春の嵐」「額田女王」「孔子」など、初版本を含む単行本、文庫本、関連書籍など100冊を自由に閲覧することができます。

「西岡屋」のモデル・西村屋

新しい本棚は、沼津の「英文堂書店」、東京の「古書 大雄峰」の寄贈により実現しました。
味わい深い装丁の初版本を手に取ってみてください。

「西岡屋」のモデル・西村屋


古里だより 如月(一)


舞台「猟銃」

2016/2/6更新

2011年の初演から5年。
舞台「猟銃」が4月より再演されることになりました。

舞台「猟銃」
公演日程:2016年4月2日 (土) ~2016年4月24日 (日)(以降、全国各地)
会場:パルコ劇場ほか
原作:井上靖『猟銃』
演出:フランソワ・ジラール
出演:中谷美紀、ロドリーグ・プロトー
http://www.parco-play.com/web/

『猟銃』
1949(昭和24)年10月『文学界』へ発表。井上靖42歳。
妻、愛人、その娘という三人の女性の手紙によって浮き彫りになる一人の男の姿。十三年に渡る不倫と、人間の業を描く。
「西岡屋」のモデル・西村屋

初版本、1950(昭和25)年3月、文藝春秋新社、装幀・猪熊弦一郎
「猟銃」「闘牛」「通夜の客」を収録

「猟銃」は、毎日新聞の記者時代に執筆し、佐藤春夫や大佛次郎らの手を経て
「文学界」へ掲載された芥川賞候補作です。同時期に書いた「闘牛」により第22回芥川賞を受賞しました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

新潮文庫「猟銃・闘牛」は当館にて好評販売中です。


古里だより 睦月(三)


あすなろ忌~冬の湯ヶ島

2016/1/30更新

井上靖の命日1月29日に合わせて、毎年湯ヶ島で行われる「あすなろ忌」。

今年は、全国的に寒波の到来した1月24日(日)に開催されました。

まずは、熊野山共同墓地にて墓参。
井上家をはじめ、関係者、井上作品のファンの方々、地元の方々など、井上靖とふみ夫人のお墓で手を合わせました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

続いて、井上靖作品読書感想文コンクールの表彰・発表です。
夏休みに読んだ「しろばんば」「あすなろ物語」など、子どもたちの感性が光ります。
「西岡屋」のモデル・西村屋

お昼休憩の時間には、「しろばんば」の散策や、旧湯ヶ島小学校井上靖記念室の見学など、多くの参加者が文学散歩を楽しみました。
午後は、劇団しろばんばによる公演「しろばんば~家族~」。今年も天城会館は満席の盛況ぶりでした。

「西岡屋」のモデル・西村屋

「西岡屋」のモデル・西村屋

「西岡屋」のモデル・西村屋


井上靖が1991(平成3)年1月29日に亡くなってから25年になります。
2015年には10年ぶりに教科書へ井上作品が掲載されました。学校図書の「国語6年生・上」の巻頭を飾る詩「出発」です。
子どもたちはかけがえのない「出発」を経験することでしょう。

古里だより 睦月(二)


中国行軍の地をめぐる旅

2016/1/21更新

井上靖は1937(昭和12)年9月より11月まで、二等兵(輜重兵)として中国北支の地を行軍しました。
その時の記録を毎日新聞社の社員手帳に日記として綴りましたが、生前公開されることはありませんでした。

その後、井上ふみ夫人の一周忌を経て、遺族によって公開された「中国行軍日記」は、雑誌『新潮』へ掲載され、「戦場で書いた率直な想い」は大きな反響を呼びました。
今回の取材旅行は、現在開催中の「井上靖と戦争・家族・ふるさと」展に合わせて企画されたものです。
参加者は井上靖次女の黒田佳子さんら六名。
旅行をお願いしたのは、旅行会社遊路トラベル。代表の志賀氏は、井上靖が初めて敦煌を訪れた時に案内をした方です。
中国側のガイド陳静さん、ドライバー侯立軍さんとともに三泊四日の旅が始まります。

<1日目>
11月9日(月)北京~涿州)
羽田空港~北京空港~旧豊台駅~盧溝橋~瑠璃河(旧橋)

「西岡屋」のモデル・西村屋
行軍が始まった豊台駅
「西岡屋」のモデル・西村屋
盧溝橋

【行軍日記より抜粋】1937(昭和12)年10月1日
朝4時豊台着。
10月7日 四時起床、出発準備。午前九時、保定に向つて行進。ロ溝橋12時。

<2日目>
11月10日(火)涿州~石家荘
永済橋~城壁~平家営~保定中学~麦畑~方順橋~定州城壁


「西岡屋」のモデル・西村屋
詩「老兵」の舞台で黒田さん朗読

【行軍日記より抜粋】1937(昭和12)年10月13日
今日は九時方順橋に向つて進軍。
銃の発條を失ひおどろく。病馬と共に遅れた溝口班長を向ひに行つた本部の大鳥君が拾ふ。大助り。
*詩「老兵」や小説「異国の星」など、繰り返し書かれる出来事。

<3日目>
11月11日(水)石家荘~元氏~石家荘
正定~五里舗村、綿畑~正定駅~コダ河~石家荘駅~元氏駅
「西岡屋」のモデル・西村屋
旧元氏駅 詩「別れ」の舞台

【行軍日記より抜粋】1937(昭和12)年11月19日
山田軍医、看ゴ長が入院した方がよかろうと立ち所に入院決定。
駅でみなと別れる。ひどいぬかるみ路―これが何十里つづくと思ふと、
明日からに行軍の辛さが思ひやられてみんなにすまない気になる。
七時乗車。戦傷患者をも含んだ前線からの歩兵部隊の中にはさまつてのる。無蓋貨車。

*詩「別れ」や小説「異国の星」など、幾度も書かれたエピソード。

ガイドの陳さんが町の人たちに聞きながら探してくださったお蔭で、当時の場所を撮影することができました。
今回の調査旅行について、3月発行の『井上靖 中国行軍日記』に詳しく収録する予定です。

古里だより 睦月(一)


新年のご挨拶

2016/1/9更新

本年もよろしくお願い申しあげます。

「井上靖と戦争・家族・ふるさと」展は、行軍日記の展示ページの変更、
また当時の軍服の展示を追加しました。
1/24(日)には、伊豆市湯ヶ島にて井上靖追悼「あすなろ忌」が開催されます。


「西岡屋」のモデル・西村屋
暖冬の影響で早めの開花となった文学館の椿