古里だより

古里だより 文月(一)


夏のワークショップのお知らせ         

2020/7/3



新型コロナウイルス感染の拡大防止に努めながら開館しております。そのため、夏のワークショップは少人数で実施予定です。 ご家族で参加の方は1テーブル用意します。希望される方は、電話でお申し込みください。

「西岡屋」のモデル・西村屋

 

写真は昨年度実施の様子です。

「ついしゅ」とは漆を塗り重ねて文様を彫る技法のことで、これを紙で応用したものです。
紙を選ぶ⇒ 選んだ紙を接着剤で張り重ねる⇒ 紙を乾かし、彫刻刀で彫る。このような作業をしていきます。


〇 夏休みワークショップ
「紙ついしゅにちょうせん!紙を重ねて彫刻しよう」
日 時 8月2(日)13:30~15:30
講 師 溝田靖浩さん(小学校教員・第24回紙わざ大賞受賞)
   「紙ついしゅ」を考案した溝田さんとオリジナル作品を作りましょう!
対 象 小学校4年生以上の親子・大人/計10名程度 家族ごとにテーブルを用意
持ち物 彫刻刀(あれば)・筆記用具・汚れてもよい服装
要予約 参加費は入館料のみ
申込み 電話 055-986-1771 井上靖文学館開館時間内に受け付けております
                (水曜 休)




古里だより 水無月(二)


テッセンの花         

2020/6/15



梅雨の中に咲く花、テッセンはクレマチスのことだそうです。本館のあるクレマチスの丘には、様々な種類のクレマチスが咲き誇っています。井上邸で見られたものは、どれだったのでしょうか。詩から想像するのも楽しいです。

「西岡屋」のモデル・西村屋

 

庭の隅に見慣れぬ紫の花が咲いている。家人に訊くと、テッセンの花だという。二、三年前に誰かが植えて行ってくれて、去年から咲きだしたという。梅雨期の花であるが、あじさいとは異なって、雨に打たれている小さい紫の花は鋭く、烈しい。

植物辞典を引くと、寛文年間に渡来せる中国原産の植物で、和名のテッセンは、漢名の鉄線蓮に基くとある。寛文と言えば徳川家綱の時代、僅か十年そこそこであるが、私娼を禁じ、殉死を禁じたことで知られている。二つの禁止令に依って生ずる空白を埋めるために、テッセンの、鉄の線条を思わせる紫の花は海を渡ってきたのだ。

詩集『乾河道』より


「西岡屋」のモデル・西村屋

 

 



古里だより 水無月(一)


再開のお知らせ         

2020/5/28



5月21日より再開しましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を講じるため様々なお願いをしております。詳しくは本ホームページ「ご利用案内」をご覧の上ご来館ください。なお5月28日(木)より閉館時間は18:00(最終入館17:30)となりました。

再開して感じられる点の一つは、皆様の滞在時間が長くなったような気がします。ゆっくり丁寧に見ていただき、大変ありがたいです。規制のつらさからの解放、文化に対する希求、心の持ち方の変化などが起こったのかもしれません。 現在は「井上靖とオリンピック 1960-1964」を開催しております。


「西岡屋」のモデル・西村屋

 

 



古里だより 皐月(二)


二人の作家の交流         

2020/5/11



作家の宮本輝さんが春の叙勲を受けられました。おめでとうございます。2月には、井上靖記念文化賞も受賞され、そのコメントの中に「井上靖の作品に触発されながら46年間小説を続けてきた」と喜びが記されております。 「新潮 創刊1000号記念号」1988年(昭和63年5月号)には、作家が先輩や友人と写ったツーショットが掲載されています。宇野千代の横で正座している山田詠美、大岡昇平とネクタイをきちんとしている沢木耕太郎などほほえましいです。ウイスキーのグラスを前に井上邸での井上靖と宮本輝もあります。 「《あすなろ物語》は、いまボロボロになり、茶色に変色して、私の書棚におさまっている。 そのとき私は井上靖氏と並んで写真を撮ってもらい、新潮の千号記念号のグラビアに加えていただけるなどとは夢にも思わなかった。」

「宮本さん、小説って何でしょうね。小説は学問でもなければ宗教でもない。小説は、遊びですねェ。贅沢な心の遊びです。贅沢な心の遊びなんだから、清潔でなければいけませんねェ」

『見事な首尾一貫 井上靖展 -詩と物語の大河』 宮本輝
県立神奈川近代文学館 2003年10月(平成15年)図録解説より
『新潮日本文学アルバム 井上靖』の中にも同日の二人の写真が収められ、交流や影響についてのエッセイも書かれています。


「西岡屋」のモデル・西村屋

 

 



古里だより  皐月(一)


臨時休館のお知らせ         

2020/4/30



新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、緊急事態宣言発令中は引き続き、臨時休館します。ご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。当館ホームページやフェイスブック等でお知らせしますのでご確認ください。

5月6日は井上靖のお誕生日、今年で113回目の生誕記念日になります。例年、無料開館をしており多くのお客様が来てくださっておりました。残念ですが、いたしかたありません。 再開した折には、ぜひ「井上靖とオリンピック1960-1964」をご覧ください。



「西岡屋」のモデル・西村屋

 

 



古里だより   卯月(二)


臨時休館のお知らせ         

2020/4/13



静岡県東部にコロナウイルス感染者が確認されたため、4月15日(水)~5月6日(水)の間、臨時休館とさせていただきます。5月7日(木)から再開予定ですが、閉館時間は17時(最終入館16時30分)といたします。 何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。




「西岡屋」のモデル・西村屋

 

 



古里だより   卯月(一)


4月は「出発」のとき         

2020/4/06



本館では、現在「井上靖とオリンピック1960-1964」展が行われています。井上が取材した、ローマオリンピックの資料を中心に柔道関係のものも展示しております。今回のオリンピックは来年に変更になりましたが、早く平穏な日々が戻り、準備ができるとよいと思います。 さて、新年度が始まりました。今年から使われる小学校教科書にも引き続き、6年生の巻頭詩は井上靖の「出発」です《「みんなと学ぶ 国語」(学校図書)》。新社会人、新入生などが、希望あふれるスタートになるように願ってやみません。

出発          井上靖

ぼくは
マラソン競争で
白いスタート・ラインにならぶ時が好きだ。
かるく腰をうかせ
きっと遠い前方の山をうかがう
あの瞬間のぴんと張った気持が好きだ。
やがて笛は鳴りひびくだろう。
ぼくたちはかけ出す。
校庭を一周し、町をぬけ、村を通り、おかをこえる。
友をぬいたり
友にぬかれたりする。
みなぎってくる
いろいろの思いをしずかにおさえて
友と友の間にはさまれて
先生の笛の合図をまっている
あのふしぎにしずかで、ゆたかな、出発の時が好きだ。




「西岡屋」のモデル・西村屋

 

 

今年も瓊花(けいか)の季節がやってきます。
例年4月下旬が見頃です。開花の状況は古里だよりやフェイスブックにてお知らせいたします。




古里だより   弥生(二)


オリンピックを迎える         

2020/3/17


ダイナミックな美
「ローマ・オリンピック1960」を見る


「オリンピックはいくつかの世界記録を出すことを目的とした単なる競技会ではない。
東京オリンピックは、ヘルシンキのそれとも、ローマのそれとも違わなければならず、その違うところは、日本という国の持っている特殊性と結びついたもので、それがその国の誠実さや礼儀で飾らねばならぬからである。」
昭和36年8月22日付『毎日新聞』夕刊から


井上が現地取材したローマオリンピックの翌年、記録映画を見た時の感想が書かれている文章である。明るく健康的な祭典、レンズを通したスポーツ映画の良さに触れながら、1964年開催の東京に対する期待が記されている。最も必要なものを「誠実、礼儀」としている点は、現在2020年オリンピックの準備中の私たちの心に響く。





「西岡屋」のモデル・西村屋
オリンポスでの採火式 真ん中に井上の姿が見える

 

現在「井上靖とオリンピック1960-1964」展開催中です




古里だより   弥生(一)


明智光秀を描く短編集         

2020/3/8


これまでの明智光秀像を一新する…
大河ドラマで話題の明智を描いた短編集が売れています!
謎多き明智を、吉川英治、池波正太郎、山田風太郎、柴田錬三郎、井上靖、海音寺潮五郎がそれぞれの解釈で綴っています。


「傑作!巨匠たちが描いた 小説・明智光秀」
宝島社文庫、650円+税

井上靖の短編「幽鬼」。
明智を本能寺へ導く小部隊の正体とは?最期に見たものとは?
光秀の心の内を淡々と表現しながら、なぜ本能寺の変に至ったのかに迫っています。


「西岡屋」のモデル・西村屋

 

「ふるさとへのメッセージ~井上靖・大岡信のことば」展も残り数日。
次回は3月12日(木)より「井上靖とオリンピック 1960-1964」展を開催予定です!





古里だより   如月(三)


トークイベントの報告         

2020/2/22


朝から雨模様だった2月16日(日)、トークイベント「井上靖×大岡信 共通点いろいろ。そして、ことば」を開催しました。

大岡信さんの誕生日企画です!

 

講師は元大岡信ことば館学芸員の中村さんと、当館学芸員。二人の作家の共通点を紹介し、それぞれの詩の鑑賞からスタートしました。

参加者へ大岡の詩「水底吹笛」や「少年時」のイメージを聞いてみると、「平仮名ならではのリズムが面白い」「タイトルは少年時だが、思い出を書いているのかしら」などの感想が出ました。

次に、井上の詩「石英の音」「夜光虫」の鑑賞では、「実際に体験していなくても共感できる」「中学時代の沼津の海の情景が浮かぶ」といった感想が延べられました。

 

「西岡屋」のモデル・西村屋

 

さらに、二人の作品を比べてみると、形式が異なっているだけでなく、詩やことばに対する姿勢の違いが鮮明に浮かび上がってきます。「イメージを広げたい、膨らませたい」大岡に対して、井上は「瞬間を切りとりたい、おさめたい」と考え、詩作の中で実践しています。

そして、二人の詩や体験から「見ること」と「見られること」の関係、「見られている」とはどういうことか?といったテーマに。

詩の鑑賞をする機会はなかなかないので、参加者と話をしながら、ことばについて考える、貴重な時間になりました。

 

トークイベント後は三島文学さんぽを予定していましたが、悪天候のためバーチャル文学さんぽに変更。

元三島市郷土資料館学芸員の福田さんによる三島の昔の写真をもとにした解説に、参加者は熱心に耳をかたむけていました。

 

「西岡屋」のモデル・西村屋




古里だより   如月(二)


重版出来!         

2020/2/22


 

文学館での楽しみは展示の見学だけでなく、お土産もその1つですね。

いま人気のオリジナルグッズを紹介いたします。

 

まずは、当館編集の書籍『井上靖 中国行軍日記』と『教科書で読んだ井上靖』です。

井上が作家になる前の30歳、中国北支を行軍した時の日記と手紙を初めて書籍化した『中国行軍日記』。これまで教科書に掲載された作品の中から今購入できない作品を集めて編集した『教科書で読んだ井上靖』。

この2冊、ついに重版になりました!

 

「西岡屋」のモデル・西村屋

 

しろばんばの手ぬぐい、しろばんばポストカード、ケイカのしおりも人気です。

懐かしいしろばんばの情景が切り絵で表現されています。切り絵は修善寺の作家・水口ちはるさんの作です。

ケイカのしおりは、絵本作家のえがしらみちこさんによるケイカの花の絵に、小説『化石』の一節を添えました。

 

「西岡屋」のモデル・西村屋

 

ほかにも、「しろばんばのおめざ」の黒飴は不動の人気ナンバー1!

書店には置いていない研究書、関連書も取り揃えていますので、ぜひご覧ください。





古里だより   如月(一)


あすなろ忌         

2020/2/3


1月26日(日)、伊豆市湯ヶ島にて、井上靖追悼「あすなろ忌」が行われました。

 

まずは雨の中の墓参。

井上家親族をはじめ、関係者、全国からファンが集いました。


「西岡屋」のモデル・西村屋

次に、井上靖コンクールの表彰と発表です。

読書感想文と風景画コンクールには毎年多くの応募があり、それぞれ個性の光る作品が発表されました。


「西岡屋」のモデル・西村屋

午後からは記念事業。

第一部「オリンピックと井上靖」では、地元の小中学生の堂々とした朗読に拍手が!進行役の勝呂奏さん(桜美林大学教授)のわかりやすい解説で、1960年のローマオリンピックから64年の東京オリンピックまで、井上靖の取材風景やその作品などが紹介されました。


「西岡屋」のモデル・西村屋

 第二部「孫たちが見た井上靖の素顔」では、初めての試みとして、井上靖のお孫さんたち世代に語っていただきました。祖父・井上靖との会話、思い出はどれも親しみやすいエピソードで、会場は笑顔に。


「西岡屋」のモデル・西村屋

会場である天城会館では、伊豆文学まつり期間中の3月8日まで「井上靖とオリンピック」「スポーツ×文学者」「書き出しで読む伊豆の名作」など、当館の出張展示を見ることができます。

また、当館を含む井上靖スポットで「しろばんばの里」スタンプラリーを実施中!

点数に応じてオリジナルグッズがもらえるので、ぜひご参加ください。


「西岡屋」のモデル・西村屋




古里だより   睦月(四)


ノーベル文学賞         

2020/1/30


今年は新年早々、「井上靖、1969年のノーベル文学賞候補だった」という嬉しいニュースが飛び込んできました。

1970年代から80年代にかけて毎年のように「受賞するのではないか」と報道されていましたが、資料は50年間非公開というルールがあり、今回初めて明らかになりました。

ノーベル文学賞発表の日、関係者やマスコミの人たちが詰めかけ、大変な状態でしたが、受賞を逃した夜は「ノーメル賞だ」と無礼講でお酒を振る舞ったそうです。

にぎやかにお酒を飲むのが好きだった井上靖らしいエピソードです。



「西岡屋」のモデル・西村屋


「西岡屋」のモデル・西村屋
1981年・撮影:二村次郎

このニュースを機に「読んでみようかな」「また読み直そうかな」という方が増えることを願っています。



古里だより   睦月(三)


出張展示と出張授業         

2020/1/30



当館では、文学館活動の一環として出張展示や出張授業を行っております。

 

今回、あすなろ忌の関連事業で、旧湯ヶ島小学校・井上靖資料室の出張展示をしました。

井上のふるさと・伊豆市がオリンピック自転車競技の会場ということで、展示テーマは「井上靖とオリンピック1960-1964」。毎日新聞特派員として取材したローマオリンピックや四年後、1964年の東京オリンピック、そして中学時代から続けていた柔道について紹介しています。

現在開催中の「ふるさとへのメッセージ~井上靖・大岡信のことば」展のあと、3月12日(木)からは「井上靖とオリンピック」展を予定しています。お楽しみに!

 

「西岡屋」のモデル・西村屋
ローマオリンピック採火式の様子:中央・カメラを持つ井上靖

 

 

冬の出張授業は、伊豆市立天城中学校と三島市立北上中学校へお邪魔しました。

天城中では、井上靖と天城中のかかわり「校訓『克己』の由来となったあすなろ物語」、「校歌を作詞したこと」、「天城中の生徒会誌に寄稿した文章『故里美し』」を紹介しました。

 

「西岡屋」のモデル・西村屋

 

北上中では、「文豪さんぽマップ」を使いながら、「井上靖と三島」について。

それから、井上靖の作品に登場する名言と井上自身が好んだ言葉を解説し、生徒の皆さんそれぞれが好きな言葉をしおりにしたためました。

 

「西岡屋」のモデル・西村屋


古里だより   睦月(二)


トークイベント         

2020/1/13



現在開催中の「ふるさとへのメッセージ~大岡信・井上靖のことば~」展に関連し、大岡信さんの誕生日にトークイベントを行います。

二人の共通点を紹介しながら、作品の世界を味わいます。

トークの後は、有志で三島の街を文学さんぽしましょう!


トークイベント「井上靖×大岡信 共通点いろいろ。そして、ことば」

日時:2月16(日)13時~14時30分・大岡信さんの生誕日に開催!

場所:井上靖文学館2階

講師:中村童子(元大岡信ことば館学芸員)・德山加陽(当館学芸員)

定員:20名

*要予約・参加費は入館料のみ


「西岡屋」のモデル・西村屋



古里だより   睦月(一)


新年のご挨拶         

2020/1/13


本年もよろしくお願いいたします。
新年早々「井上靖、1969年のノーベル文学賞候補だった」という嬉しいニュースが飛び込んできました。
1970年代には毎年のように報道されていましたが、50年経ち、今回初めて明らかになりました。このニュースを機に「読んでみようかな」「また読み直そうかな」という方が増えることを願っています。
今月26日には伊豆湯ヶ島にてあすなろ忌が行われ、それを皮切りに伊豆文学まつりが開催されます。

「西岡屋」のモデル・西村屋


最新情報は井上靖文学館facebookをご覧ください https://www.facebook.com/inoue.yasushi.museum