古里だより


【お知らせ】

 


このたび井上靖文学館は、4月より長泉町が運営することになりました。
その準備を含む改修工事のため、2月1日(月)より臨時休館いたします。
再開の折は改めてお知らせします。

井上靖文学館は1973年にオープンし、今年で48年目。これからも永く作品が詠み継がれるよう、拠点として活動してまいります。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。

休館中のお問い合わせは電話055-986-1771までご連絡ください。
最新情報は当館Facebookにてお知らせしています。
https://www.facebook.com/inoue.yasushi.museum


古里だより 弥生

文学館のしごと~博物館実習~

 


2021/3/10


臨時休館中の当館では、朝から夕方まで改修工事を行っています。
スタッフは、資料整理や片付けなど、休館中にしかできない作業を黙々と…

そして、3月4日(木)から8日(月)まで博物館実習生の受け入れを行いました。
今年は静岡大学教育学部で国語教育を学ぶ三年生です。
実習生は、梶井基次郎を偲ぶ湯ケ島檸檬忌の運営と、旅館のロビー展示に取り組みました。

亡くなった前館長の遺志をつぎ、復活した湯ケ島檸檬忌。
今回は、ゆかりの地で活動する人たちによる「梶井サミット」と、梶井が聴いた音楽会を再現するコンサートを企画しました。

「西岡屋」のモデル・西村屋
天城山荘でのサミット
「西岡屋」のモデル・西村屋
追悼の会 梶井基次郎文学碑と檸檬塚の前で
「西岡屋」のモデル・西村屋
ピアニスト平沢匡朗さんの演奏
「西岡屋」のモデル・西村屋
朗読は尾原むつみさん

実習生は、文学イベントの準備と運営を体験。
地域と文学の関わりについて考えるきっかけになったようです。

最終日は船原温泉にある旅館・船原館のロビー展示を実施しました。
実習生が事前に訪問し、テーマを「体で感じる湯ケ島文学」に決め、文章を選定しました。
「視」「聴」「触」「嗅」「味」に分け、それぞれの感覚に訴える一節を紹介しています。
「西岡屋」のモデル・西村屋

「西岡屋」のモデル・西村屋

窓を開ければ川の音が聞こえ、伊豆の山が見える。温泉の湯気と郷土料理。
旅は五感を刺激します。
文学が旅のお供になる。そんな展示を目指しました。
これからも実習を通して、井上靖の作品や伊豆の魅力を伝えていきたいと思います。

最新情報は当館Facebookにてお知らせしています。
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古里だより 如月(二)

冬の風景

 


2021/2/19


「青春」
詩を書いた一枚の原稿用紙を懐にして、私は田舎の中学校の教師をしている詩人のもとを訪ねて行った。夕食のご馳走になり、その家を辞すと、戸外は吹雪いていた。両側の人家が固く表戸をおろしている通りを、私はマントを頭からかぶって駅へ急いだ。待合室にはいると、そこに居た角巻の女と二人で、ストーブに寄って、終列車を待った。石動(いするぎ)という駅であった。
「季節」昭和45年4月『風景』4月号

冬の北陸から雪のニュースが届くとこの詩を思い出します。
「青春」は昭和45年の作品。40年ほどの前の思い出を大切に持ち続けてきた井上の青春の1ページ、柔道部を退部して心の穴を埋めるかのように詩作にのめりこみ始めました。
高校を卒業する昭和5年2月、大雪の日に『日本海詩人』の大村正次の家を訪ねたのです。
「西岡屋」のモデル・西村屋
四高記念文化交流館
「西岡屋」のモデル・西村屋
通学路のW坂


「雪がはげしくふぶいている日で、私はそこで夕食をごちそうになりながら、何人かの北国の詩人たちと会った。宮崎健三、方等みゆきといったその後長く交際した詩人たちがいた」
『青春放浪』より
「西岡屋」のモデル・西村屋
金沢の下宿先

2月の京都は底冷えという言葉がよく使われます。
井上靖は大学時代、新聞記者時代に京都で暮らし、その寒さを経験しています。観光ではなく、生活者の眼で書かれた文章を探してみました。

「冬になると京都に行きたくなる。京都の冬は独特の寒さである。併し、京都の底冷えも、私には余り苦にならない。京都から底冷えをとってしまったら、京都でなくなってしまうだろう。別に買いものするわけでないが、長い市場の路地をゆっくりと散歩する。両側の店の商品をひとつひとつ見て歩く。漬けものの大きな樽などをのぞくと氷が張っている」
「冬の京都」昭和42年1月より抜粋


「西岡屋」のモデル・西村屋
学生時代に通ったうどん屋「笑福亭」
「西岡屋」のモデル・西村屋
元毎日新聞京都支局

古里だより 如月(一)

2冊の本

 


2021/2/8


当館学芸員が執筆に携わった本を2冊紹介します。
地図の老舗・帝国書院から『地図で読む松本清張』。

取り上げられた作品の中から、当館の学芸員が『天城越え』の部分を担当しました。
清張と伊豆のかかわり、作品の詳細な解説を地図に合わせて読むことができます。

井上靖は小説新潮に多くの小説を発表すると同時に、選評(小説新潮賞)にも関わりました。
『小説新潮』2月号には、井上のことばに関する作家同士のエピソード、人との縁の不思議さが書かれたエッセイ「橋は焼かれた」が掲載されています。


「西岡屋」のモデル・西村屋
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古里だより 睦月(一)

新年のご挨拶

 


2021/1/12



あけましておめでとうございます。
令和3年も井上靖文学館のホームページを開いていただきありがとうございます。
この一年が皆様にとって明るく、潤いのある年になるよう、また、井上作品読み継がれるよう願っております。
新年、佐久間図書館のHさんから、写真を送っていただきました。なかなか旅行に行けませんので、それを思って撮ってくださったとのこと、皆様も旅に出たつもりで、『満ちて来る潮』の舞台になった場所をご覧ください。


「西岡屋」のモデル・西村屋

1988年10月建立 設計 船越保武
 碑文 詩集「星闌干」より

 
「西岡屋」のモデル・西村屋


「ここからでは高さの見当がつきませんが、あのコンクリートの壁は丸ビルの高さの五倍あるんですよ」『満ちて来る潮』から


 

古里だより 師走(二)


【12月26日(土)から1月6日(水)まで年末・年始休館になります】


2020/12/22



年の瀬も迫り、気ぜわしい日々を送っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。本年も井上靖文学館のホームページを訪れてくださりありがとございました。 今年はコロナウイルス禍で、様々な行事も中止せざるを得ませんでした。臨時休館の春、ゴールデンウィーク「瓊花祭り」中止、夏のワークショップ延期などがありました。楽しみにしていらっしゃった方も多く、誠に残念な年になってしまいました。 来年度にはコロナ禍が早く収束し、穏やかな毎日が過ごせることを願っています。皆さま良いお年をお迎えください。

「西岡屋」のモデル・西村屋

毎年のことであるが、餅搗きの音が聞こえだすと、村には冷たい風が吹き始め、学校が休みになった子供たちは、その冷たい風の中で遊んだ。子どもたちは正月がすぐそこへ来ているということで、寒さも、冷たさも感じなかった。頬は赤くなり、手はひび割れ、耳たぶと足指にはしもやけができた。夜になると、子供たちは申し合わせたように、家で塩湯をつくって貰い、それを入れた桶にしもやけの足を突込んだ。   『夏草冬濤』より

 

古里だより 師走(一)


【昭和51年12月】


2020/12/07



井上の年譜を見ていると驚くことが多々あります。昭和51年12月「財団法人講道館評議員」就任、平成3年1月まで。その間12年間、結局亡くなるまで務めたことになります。 頼まれるとノーと言わない、そして何より柔道が好きで、好きでたまらなかったのでしょう。 現在本館では、井上の柔道関係の資料を展示しております。ぜひご覧ください。

「西岡屋」のモデル・西村屋

柔道六段 お酒大好き
心宏く温かき人 多忙の中にも幸せな一生を
終える

湯ヶ島熊野山の墓碑裏面にふみ夫人が書かれたものです。


「西岡屋」のモデル・西村屋

 


古里だより 霜月(二)


【文学館 創立記念日】

2020/11/24



11月25日は本館の創立記念日です。
昭和48年11月25日、井上66歳。存命中に館ができたことは大変珍しいことでした。
47歳になった本館ですが、これからも井上文学のすばらしさを皆様にお伝えしていきます。

 

「西岡屋」のモデル・西村屋

 


古里だより 霜月(一)


『しろばんば』から

2020/11/08



洪作は「10月も終わりに近いある日のこと」おぬい婆さんと下田へ行くことになった。「おぬい婆さんは人前で自分の郷里である半島の突端部の港町のことを一切語ることはなかった。」が「娘の頃棄てた郷里の土を、何十年ぶりかで踏んでみたくなったに違いない。」湯ヶ島から下田へは、「毎日のように馬車が一回通っていた。」


「トンネル=ずいどう」を越えることは異境へ入り込むことになります。特に天城峠は川端康成の『伊豆の踊子』をはじめ、多くの文学作品に扱われて、他国に入ることにより心の変化が作品の主題に投影されます。


井上もこの旅で同じような思いを持ちました。洪作はまず馬車に乗りながらさき子のことを思い出します。「あの日以来、自分とは反対の方向へ歩き出したのだ。」と、生と死を考え、次に「ずいどう」に立ち反対側の出口を見ます。「半月状に切り取られた賀茂郡の風景が、こちらのそれとはまるで違った妙に生き生きとした新鮮なものに見えた。」のでした。おぬい婆さんの湯ヶ島での陰鬱な暮らしを一番感じていたのは洪作だったのです。
峠で馬車は止まり小休止をします。ここは難所で戦後のガソリンバスでもオーバーヒートして止まったようで松本清張も旅の途中で経験しました。紅葉の秋、今年もハイカーが伊豆を訪れています。
 

「西岡屋」のモデル・西村屋

 


古里だより 神無月(一)


しろばんば

2020/10/11



「その頃の、と言っても大正四、五年のことで、今から四十数年前のことだが、夕方になると、決まって村の子供たちは口々にしろばんば、しろばんばと叫びながら、家の前の街道をあっちに走ったり、こっちに走ったりしながら夕闇のたちこめ始めた空間を綿屑でも舞っているように浮遊している小さな生きものを追いかけて遊んだ。・・・略・・・ しろばんばというのは、白い老婆ということなのであろう。」『しろばんば』より


しろばんばは伊豆の冬を告げる小さな虫です。学術名でいうと「トドノネオオワタムシ」などで、アブラムシ科の虫、「雪虫」と呼ばれ俳句では冬の季語にもなっています。 各地で様々な呼び方をされており、川端康成も11月の湯ヶ島で見たようで「白パンパン」 と聞こえたそうです。季節は秋から冬へ駆け足でやって来るようです。


本館でも10月31日(土)から11月3日(火・祝)まで「しろばんば祭り」を行います。先着100名様にガラポンによる記念品を差し上げます。
 

「西岡屋」のモデル・西村屋

 


古里だより 長月(一)


台風

2020/9/13



今年も大きな台風が日本列島を襲いそうで心配です。
事前に情報が入ってくる現在と違って、大正、昭和、天城に来た嵐はどのようなものだったのでしょうか。洪作少年にとっても二百十日、二百二十日過ぎ(今年は9月10日)の台風には悩まされたようです。

「いつも暴風雨は前触れなしに突然やってきた。生暖かい風が吹き、横殴りの雨が落ち出し、空一面を覆っている黒い雲が走り出すと、学校は早退けになった。」 
「台風の翌日から本格的な秋晴れの日がやってきた。残暑は台風を境にぷっつりと切れて、あとは冷え冷えとした秋風が村を渡った。」  『しろばんば』より

自然災害に翻弄されながらも強く生きなければならない日本。日ごろからしっかり準備はしておきたいものです。
 

「西岡屋」のモデル・西村屋

 


古里だより 葉月(二)


夏のワークショップ 紙ついしゅ         

2020/8/18



8月2日(日)夏のワークショップを開きました。講師の溝田靖浩さんが考案した「紙ついしゅ」。紙を重ね合わせたあと、彫刻刀で彫り上げる作品作りです。ご家族ごとテーブルを用意して安心して作業ができるようにしました。偶然が織りなす不思議な色合い、完成形を想像して色を意識的に重ねるテクニックなど大人が夢中になる機会になりました。

「西岡屋」のモデル・西村屋

「西岡屋」のモデル・西村屋

 



古里だより 葉月 (一)


井上靖の夏の思い出         

2020/8/18



暑い夏ですが、学習の遅れを取り戻すため、子どもたちにとっては今年は短い夏休みです。さて、井上の夏はどのようなものだったのでしょうか。
『幼き日のこと』から井上靖の夏を探してみましょう。


「西岡屋」のモデル・西村屋



「氷のぶっかき」
「ひと夏に二回か三回、氷のぶっかきにありついた。どこから貰うこともあれば、おかの婆さんに連れられて、集落のはずれにある氷蔵まで出かけて行って、氷を買ってくることもあった」「土蔵に帰り着く頃はバケツの中の氷は大分減っている。おかのお婆さんは、その氷を出刃包丁で二つか三つに割り、その一つを布巾に包んで、上から金づちで叩く。そして小さくなったのをどんぶりに入れ、白砂糖をかけて、私の前に置く。」 湯ヶ島では大正から昭和初期にかけて天城山の天然水を人工的に凍らせて旅館の夏の名物になっていたことが記されおり、今でも氷室跡が残っているそうです。


「西岡屋」のモデル・西村屋


   

古里だより 文月(一)


夏のワークショップのお知らせ         

2020/7/3



新型コロナウイルス感染の拡大防止に努めながら開館しております。そのため、夏のワークショップは少人数で実施予定です。 ご家族で参加の方は1テーブル用意します。希望される方は、電話でお申し込みください。

「西岡屋」のモデル・西村屋

 

写真は昨年度実施の様子です。

「ついしゅ」とは漆を塗り重ねて文様を彫る技法のことで、これを紙で応用したものです。
紙を選ぶ⇒ 選んだ紙を接着剤で張り重ねる⇒ 紙を乾かし、彫刻刀で彫る。このような作業をしていきます。


〇 夏休みワークショップ
「紙ついしゅにちょうせん!紙を重ねて彫刻しよう」
日 時 8月2(日)13:30~15:30
講 師 溝田靖浩さん(小学校教員・第24回紙わざ大賞受賞)
   「紙ついしゅ」を考案した溝田さんとオリジナル作品を作りましょう!
対 象 小学校4年生以上の親子・大人/計10名程度 家族ごとにテーブルを用意
持ち物 彫刻刀(あれば)・筆記用具・汚れてもよい服装
要予約 参加費は入館料のみ
申込み 電話 055-986-1771 井上靖文学館開館時間内に受け付けております
                (水曜 休)




古里だより 水無月(二)


テッセンの花         

2020/6/15



梅雨の中に咲く花、テッセンはクレマチスのことだそうです。本館のあるクレマチスの丘には、様々な種類のクレマチスが咲き誇っています。井上邸で見られたものは、どれだったのでしょうか。詩から想像するのも楽しいです。

「西岡屋」のモデル・西村屋

 

庭の隅に見慣れぬ紫の花が咲いている。家人に訊くと、テッセンの花だという。二、三年前に誰かが植えて行ってくれて、去年から咲きだしたという。梅雨期の花であるが、あじさいとは異なって、雨に打たれている小さい紫の花は鋭く、烈しい。

植物辞典を引くと、寛文年間に渡来せる中国原産の植物で、和名のテッセンは、漢名の鉄線蓮に基くとある。寛文と言えば徳川家綱の時代、僅か十年そこそこであるが、私娼を禁じ、殉死を禁じたことで知られている。二つの禁止令に依って生ずる空白を埋めるために、テッセンの、鉄の線条を思わせる紫の花は海を渡ってきたのだ。

詩集『乾河道』より


「西岡屋」のモデル・西村屋

 

 



古里だより 水無月(一)


再開のお知らせ         

2020/5/28



5月21日より再開しましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を講じるため様々なお願いをしております。詳しくは本ホームページ「ご利用案内」をご覧の上ご来館ください。なお5月28日(木)より閉館時間は18:00(最終入館17:30)となりました。

再開して感じられる点の一つは、皆様の滞在時間が長くなったような気がします。ゆっくり丁寧に見ていただき、大変ありがたいです。規制のつらさからの解放、文化に対する希求、心の持ち方の変化などが起こったのかもしれません。 現在は「井上靖とオリンピック 1960-1964」を開催しております。


「西岡屋」のモデル・西村屋

 

 



古里だより 皐月(二)


二人の作家の交流         

2020/5/11



作家の宮本輝さんが春の叙勲を受けられました。おめでとうございます。2月には、井上靖記念文化賞も受賞され、そのコメントの中に「井上靖の作品に触発されながら46年間小説を続けてきた」と喜びが記されております。 「新潮 創刊1000号記念号」1988年(昭和63年5月号)には、作家が先輩や友人と写ったツーショットが掲載されています。宇野千代の横で正座している山田詠美、大岡昇平とネクタイをきちんとしている沢木耕太郎などほほえましいです。ウイスキーのグラスを前に井上邸での井上靖と宮本輝もあります。 「《あすなろ物語》は、いまボロボロになり、茶色に変色して、私の書棚におさまっている。 そのとき私は井上靖氏と並んで写真を撮ってもらい、新潮の千号記念号のグラビアに加えていただけるなどとは夢にも思わなかった。」

「宮本さん、小説って何でしょうね。小説は学問でもなければ宗教でもない。小説は、遊びですねェ。贅沢な心の遊びです。贅沢な心の遊びなんだから、清潔でなければいけませんねェ」

『見事な首尾一貫 井上靖展 -詩と物語の大河』 宮本輝
県立神奈川近代文学館 2003年10月(平成15年)図録解説より
『新潮日本文学アルバム 井上靖』の中にも同日の二人の写真が収められ、交流や影響についてのエッセイも書かれています。


「西岡屋」のモデル・西村屋

 

 



古里だより  皐月(一)


臨時休館のお知らせ         

2020/4/30



新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、緊急事態宣言発令中は引き続き、臨時休館します。ご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。当館ホームページやフェイスブック等でお知らせしますのでご確認ください。

5月6日は井上靖のお誕生日、今年で113回目の生誕記念日になります。例年、無料開館をしており多くのお客様が来てくださっておりました。残念ですが、いたしかたありません。 再開した折には、ぜひ「井上靖とオリンピック1960-1964」をご覧ください。



「西岡屋」のモデル・西村屋

 

 



古里だより   卯月(二)


臨時休館のお知らせ         

2020/4/13



静岡県東部にコロナウイルス感染者が確認されたため、4月15日(水)~5月6日(水)の間、臨時休館とさせていただきます。5月7日(木)から再開予定ですが、閉館時間は17時(最終入館16時30分)といたします。 何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。




「西岡屋」のモデル・西村屋

 

 



古里だより   卯月(一)


4月は「出発」のとき         

2020/4/06



本館では、現在「井上靖とオリンピック1960-1964」展が行われています。井上が取材した、ローマオリンピックの資料を中心に柔道関係のものも展示しております。今回のオリンピックは来年に変更になりましたが、早く平穏な日々が戻り、準備ができるとよいと思います。 さて、新年度が始まりました。今年から使われる小学校教科書にも引き続き、6年生の巻頭詩は井上靖の「出発」です《「みんなと学ぶ 国語」(学校図書)》。新社会人、新入生などが、希望あふれるスタートになるように願ってやみません。

出発          井上靖

ぼくは
マラソン競争で
白いスタート・ラインにならぶ時が好きだ。
かるく腰をうかせ
きっと遠い前方の山をうかがう
あの瞬間のぴんと張った気持が好きだ。
やがて笛は鳴りひびくだろう。
ぼくたちはかけ出す。
校庭を一周し、町をぬけ、村を通り、おかをこえる。
友をぬいたり
友にぬかれたりする。
みなぎってくる
いろいろの思いをしずかにおさえて
友と友の間にはさまれて
先生の笛の合図をまっている
あのふしぎにしずかで、ゆたかな、出発の時が好きだ。




「西岡屋」のモデル・西村屋

 

 

今年も瓊花(けいか)の季節がやってきます。
例年4月下旬が見頃です。開花の状況は古里だよりやフェイスブックにてお知らせいたします。




古里だより   弥生(二)


オリンピックを迎える         

2020/3/17


ダイナミックな美
「ローマ・オリンピック1960」を見る


「オリンピックはいくつかの世界記録を出すことを目的とした単なる競技会ではない。
東京オリンピックは、ヘルシンキのそれとも、ローマのそれとも違わなければならず、その違うところは、日本という国の持っている特殊性と結びついたもので、それがその国の誠実さや礼儀で飾らねばならぬからである。」
昭和36年8月22日付『毎日新聞』夕刊から


井上が現地取材したローマオリンピックの翌年、記録映画を見た時の感想が書かれている文章である。明るく健康的な祭典、レンズを通したスポーツ映画の良さに触れながら、1964年開催の東京に対する期待が記されている。最も必要なものを「誠実、礼儀」としている点は、現在2020年オリンピックの準備中の私たちの心に響く。





「西岡屋」のモデル・西村屋
オリンポスでの採火式 真ん中に井上の姿が見える

 

現在「井上靖とオリンピック1960-1964」展開催中です




古里だより   弥生(一)


明智光秀を描く短編集         

2020/3/8


これまでの明智光秀像を一新する…
大河ドラマで話題の明智を描いた短編集が売れています!
謎多き明智を、吉川英治、池波正太郎、山田風太郎、柴田錬三郎、井上靖、海音寺潮五郎がそれぞれの解釈で綴っています。


「傑作!巨匠たちが描いた 小説・明智光秀」
宝島社文庫、650円+税

井上靖の短編「幽鬼」。
明智を本能寺へ導く小部隊の正体とは?最期に見たものとは?
光秀の心の内を淡々と表現しながら、なぜ本能寺の変に至ったのかに迫っています。


「西岡屋」のモデル・西村屋

 

「ふるさとへのメッセージ~井上靖・大岡信のことば」展も残り数日。
次回は3月12日(木)より「井上靖とオリンピック 1960-1964」展を開催予定です!





古里だより   如月(三)


トークイベントの報告         

2020/2/22


朝から雨模様だった2月16日(日)、トークイベント「井上靖×大岡信 共通点いろいろ。そして、ことば」を開催しました。

大岡信さんの誕生日企画です!

 

講師は元大岡信ことば館学芸員の中村さんと、当館学芸員。二人の作家の共通点を紹介し、それぞれの詩の鑑賞からスタートしました。

参加者へ大岡の詩「水底吹笛」や「少年時」のイメージを聞いてみると、「平仮名ならではのリズムが面白い」「タイトルは少年時だが、思い出を書いているのかしら」などの感想が出ました。

次に、井上の詩「石英の音」「夜光虫」の鑑賞では、「実際に体験していなくても共感できる」「中学時代の沼津の海の情景が浮かぶ」といった感想が延べられました。

 

「西岡屋」のモデル・西村屋

 

さらに、二人の作品を比べてみると、形式が異なっているだけでなく、詩やことばに対する姿勢の違いが鮮明に浮かび上がってきます。「イメージを広げたい、膨らませたい」大岡に対して、井上は「瞬間を切りとりたい、おさめたい」と考え、詩作の中で実践しています。

そして、二人の詩や体験から「見ること」と「見られること」の関係、「見られている」とはどういうことか?といったテーマに。

詩の鑑賞をする機会はなかなかないので、参加者と話をしながら、ことばについて考える、貴重な時間になりました。

 

トークイベント後は三島文学さんぽを予定していましたが、悪天候のためバーチャル文学さんぽに変更。

元三島市郷土資料館学芸員の福田さんによる三島の昔の写真をもとにした解説に、参加者は熱心に耳をかたむけていました。

 

「西岡屋」のモデル・西村屋




古里だより   如月(二)


重版出来!         

2020/2/22


 

文学館での楽しみは展示の見学だけでなく、お土産もその1つですね。

いま人気のオリジナルグッズを紹介いたします。

 

まずは、当館編集の書籍『井上靖 中国行軍日記』と『教科書で読んだ井上靖』です。

井上が作家になる前の30歳、中国北支を行軍した時の日記と手紙を初めて書籍化した『中国行軍日記』。これまで教科書に掲載された作品の中から今購入できない作品を集めて編集した『教科書で読んだ井上靖』。

この2冊、ついに重版になりました!

 

「西岡屋」のモデル・西村屋

 

しろばんばの手ぬぐい、しろばんばポストカード、ケイカのしおりも人気です。

懐かしいしろばんばの情景が切り絵で表現されています。切り絵は修善寺の作家・水口ちはるさんの作です。

ケイカのしおりは、絵本作家のえがしらみちこさんによるケイカの花の絵に、小説『化石』の一節を添えました。

 

「西岡屋」のモデル・西村屋

 

ほかにも、「しろばんばのおめざ」の黒飴は不動の人気ナンバー1!

書店には置いていない研究書、関連書も取り揃えていますので、ぜひご覧ください。





古里だより   如月(一)


あすなろ忌         

2020/2/3


1月26日(日)、伊豆市湯ヶ島にて、井上靖追悼「あすなろ忌」が行われました。

 

まずは雨の中の墓参。

井上家親族をはじめ、関係者、全国からファンが集いました。


「西岡屋」のモデル・西村屋

次に、井上靖コンクールの表彰と発表です。

読書感想文と風景画コンクールには毎年多くの応募があり、それぞれ個性の光る作品が発表されました。


「西岡屋」のモデル・西村屋

午後からは記念事業。

第一部「オリンピックと井上靖」では、地元の小中学生の堂々とした朗読に拍手が!進行役の勝呂奏さん(桜美林大学教授)のわかりやすい解説で、1960年のローマオリンピックから64年の東京オリンピックまで、井上靖の取材風景やその作品などが紹介されました。


「西岡屋」のモデル・西村屋

 第二部「孫たちが見た井上靖の素顔」では、初めての試みとして、井上靖のお孫さんたち世代に語っていただきました。祖父・井上靖との会話、思い出はどれも親しみやすいエピソードで、会場は笑顔に。


「西岡屋」のモデル・西村屋

会場である天城会館では、伊豆文学まつり期間中の3月8日まで「井上靖とオリンピック」「スポーツ×文学者」「書き出しで読む伊豆の名作」など、当館の出張展示を見ることができます。

また、当館を含む井上靖スポットで「しろばんばの里」スタンプラリーを実施中!

点数に応じてオリジナルグッズがもらえるので、ぜひご参加ください。


「西岡屋」のモデル・西村屋




古里だより   睦月(四)


ノーベル文学賞         

2020/1/30


今年は新年早々、「井上靖、1969年のノーベル文学賞候補だった」という嬉しいニュースが飛び込んできました。

1970年代から80年代にかけて毎年のように「受賞するのではないか」と報道されていましたが、資料は50年間非公開というルールがあり、今回初めて明らかになりました。

ノーベル文学賞発表の日、関係者やマスコミの人たちが詰めかけ、大変な状態でしたが、受賞を逃した夜は「ノーメル賞だ」と無礼講でお酒を振る舞ったそうです。

にぎやかにお酒を飲むのが好きだった井上靖らしいエピソードです。



「西岡屋」のモデル・西村屋


「西岡屋」のモデル・西村屋
1981年・撮影:二村次郎

このニュースを機に「読んでみようかな」「また読み直そうかな」という方が増えることを願っています。



古里だより   睦月(三)


出張展示と出張授業         

2020/1/30



当館では、文学館活動の一環として出張展示や出張授業を行っております。

 

今回、あすなろ忌の関連事業で、旧湯ヶ島小学校・井上靖資料室の出張展示をしました。

井上のふるさと・伊豆市がオリンピック自転車競技の会場ということで、展示テーマは「井上靖とオリンピック1960-1964」。毎日新聞特派員として取材したローマオリンピックや四年後、1964年の東京オリンピック、そして中学時代から続けていた柔道について紹介しています。

現在開催中の「ふるさとへのメッセージ~井上靖・大岡信のことば」展のあと、3月12日(木)からは「井上靖とオリンピック」展を予定しています。お楽しみに!

 

「西岡屋」のモデル・西村屋
ローマオリンピック採火式の様子:中央・カメラを持つ井上靖

 

 

冬の出張授業は、伊豆市立天城中学校と三島市立北上中学校へお邪魔しました。

天城中では、井上靖と天城中のかかわり「校訓『克己』の由来となったあすなろ物語」、「校歌を作詞したこと」、「天城中の生徒会誌に寄稿した文章『故里美し』」を紹介しました。

 

「西岡屋」のモデル・西村屋

 

北上中では、「文豪さんぽマップ」を使いながら、「井上靖と三島」について。

それから、井上靖の作品に登場する名言と井上自身が好んだ言葉を解説し、生徒の皆さんそれぞれが好きな言葉をしおりにしたためました。

 

「西岡屋」のモデル・西村屋


古里だより   睦月(二)


トークイベント         

2020/1/13



現在開催中の「ふるさとへのメッセージ~大岡信・井上靖のことば~」展に関連し、大岡信さんの誕生日にトークイベントを行います。

二人の共通点を紹介しながら、作品の世界を味わいます。

トークの後は、有志で三島の街を文学さんぽしましょう!


トークイベント「井上靖×大岡信 共通点いろいろ。そして、ことば」

日時:2月16(日)13時~14時30分・大岡信さんの生誕日に開催!

場所:井上靖文学館2階

講師:中村童子(元大岡信ことば館学芸員)・德山加陽(当館学芸員)

定員:20名

*要予約・参加費は入館料のみ


「西岡屋」のモデル・西村屋



古里だより   睦月(一)


新年のご挨拶         

2020/1/13


本年もよろしくお願いいたします。
新年早々「井上靖、1969年のノーベル文学賞候補だった」という嬉しいニュースが飛び込んできました。
1970年代には毎年のように報道されていましたが、50年経ち、今回初めて明らかになりました。このニュースを機に「読んでみようかな」「また読み直そうかな」という方が増えることを願っています。
今月26日には伊豆湯ヶ島にてあすなろ忌が行われ、それを皮切りに伊豆文学まつりが開催されます。

「西岡屋」のモデル・西村屋


最新情報は井上靖文学館facebookをご覧ください https://www.facebook.com/inoue.yasushi.museum